東京五輪は大丈夫? 韓国・平昌で厄介物になった五輪遺産

2018年8月29日(水)17時30分
佐々木和義

活用が決まった施設もある。江陵カーリングセンターは、2018WCFアジア太平洋カーリング選手権まで維持した後、室内複合福祉スポーツ施設として活用し、フィギュアスケートやショートトラックが行われたアイスアリーナは室内複合文化スポーツ施設になる。撤去を前提に建てられた国際放送センター(IBC)は国家文献保存館として活用する予定だ。

遺産は会場だけではない。韓国鉄道公社(Korail,コレール)は、仁川空港とソウルを結ぶ高速鉄道KTXの廃止を決定した。国際空港と会場を結ぶ目的で計画された路線の一部で、空港鉄道と線路を共用する。空港鉄道を420本から357本に減便し、五輪会場に加えて空港と国内主要都市を直結するKTXの運行を開始したが、区間乗車率は20%台にとどまっている。空港鉄道の増便やソウル駅のKTX増便などKTXと空港鉄道の乗継を見直す計画だ。

撤去した施設も

韓国は冬季スポーツの下地がない。競技人口が少なく認知度の低い種目が多い冬季五輪は直前まで盛り上がらなかった。五輪前から人気だったフィギュアやショートトラック、五輪を機に認知度が高まったカーリング等の施設は費用を捻出しやすい。

競技人口が増えれば活用できるが、競技人口が少ない種目の専用施設は"厄介物"となる。施設建設などのハード整備に追われ、ソフトをないがしろにした結果だろう。

"五輪遺産"を抱えるのは平昌だけではない。リオは一部が廃墟となり、長野も活用が進まず多額の税金が投入された施設がある。東京五輪まであと2年。五輪後を見据えた整備計画が望まれるだろう。


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