アスリートに忍び寄る、遺伝子治療を応用した「遺伝子ドーピング」とは

2018年4月24日(火)20時30分
松岡由希子

オリンピック選手の遺伝子情報を集める可能性も

これに対し、WADAの役員を務めるオリヴィエ・ラビン博士は、米ニュース専門チャンネル「CNN」の取材で、血液などの生体試料から選手の遺伝子情報を集める可能性について言及。

雑誌「Wired」でも「WADAが、すべてのオリンピック選手に遺伝子コードのコピーの提出を求めることを検討している」と報じられている。

しかし、この方策は、選手のプライバシーに抵触する可能性があるばかりか、選手から提出される遺伝子コードが遺伝子改変される前のものであるという保証はないことから、懐疑的な見方も少なくない。

現時点において、遺伝子ドーピングを防止する効果的な指針やプランはまだ示されていない。遺伝子ドーピングが広がってしまう前に、まず、アスリートやその関係者を十分に教育し、遺伝子ドーピングにまつわる倫理的問題や健康リスクについての啓発活動を積極的にすすめていく必要はありそうだ。


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