ドイツの親子に学ぶ正しい実家暮らしのコツ

2016年7月6日(水)16時00分
レベッカ・シューマン

若者の欲求に口を出さず

 子供が成長した後も、そうした姿勢は変わらない。私が20代でホームステイしたベルリンの家庭では、50代のホストマザーが私と同世代の娘2人と暮らしていた。母娘はよく、娘の恋人も交えて飲みに出掛けた。しかも娘は恋人を自分の部屋に泊め、翌朝には家族そろって和やかにコーヒーを飲んでいた。

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 アメリカの若者が親元を離れたがる最大の理由は、ここにある。彼らは親が決めたルールから逃れたいのだ。好きなときに飲みに出掛け、夜更かししてテレビを見て、男女関係なく友人を自由に泊めたいという欲求は、若者なら自然なものだ。ドイツの親たちは基本的に、そうした行動に口を出さない。

 そもそも親子関係に問題があるわけでもないのに、社会的な圧力に押されて若者が家を出なければならない理由などあるのだろうか。実家暮らしが増えている理由が、経済的な事情でなく自発的なものであれば理想的かもしれないが、たとえ経済的な理由で戻ってきたとしても、それを恥じる必要はない。

 アメリカでは一度巣立った子供が親元に戻ってくることを「ブーメラン」と呼ぶが、これからはもっと正確な表現で、例えば「普通の暮らし」と呼んではどうだろう。

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