パリで過熱する日本ブーム 300万人が訪れた「ジャポニスム2018」の立役者たち
<仏で8カ月開催された「ジャポニスム2018」には、パリの人口を超える300万人が動員した。フランスでの"日本ブーム"の現状を現地で探った>
いまやパリでは石を投げれば日本食店にあたり、パリっ子に人気のバカンス先は「日本」になりつつある。芸術に厳しいフランス人たちが「繊細で、奥深い」と舌を巻く――彼らの心を掴む"日本文化の魅力"とはいったいなんだろう? ブームの現状を調査してみた。
300万人を動員した「ジャポニスム2018」
春の陽光が気持ちいい3月の昼時、パリのセーヌ川沿いを歩いていると、向かい側に長蛇の列が目に飛び込んできた。ふだん行列を好まないフランス人が"待ってでも見たいもの"は何だろう――目をやると行列の先にあったのは、「パリ日本文化会館」で開催されている「藤田嗣治:生涯の作品」展だった。
ジャポニスム2018公式企画「藤田嗣治:生涯の作品」展を一目見るために列をなす人々(Photo: Ayana Nishikawa)
この展覧会は、「ジャポニスム2018:響きあう魂」の公式企画の一環だ。「ジャポニスム2018」とは日仏国交樹立160周年を記念し、フランス全土で2018年7月から2019年2月にかけて開催した海外最大規模の日本博である。約8か月間で300以上の公式企画、特別企画、参加企画が催され、その来場者数はパリの人口(約220万人)より多い300万人に達した。
同イベント開催期間中は仏テレラマ誌が「パリ、日本の首都になる」と謳ったように、パリの象徴的な名所を"日本の芸術"が彩った。「エッフェル塔」は照明デザイナーの石井幹子氏と娘の石井リーサ明理氏の演出によって"日の丸"を纏い、ルーブル美術館のガラスのピラミッド内では彫刻家の名和晃平氏の金色の大型彫刻作品が燦然(さんぜん)と輝いた。
ルーブル美術館も普段とは違う装いに(写真はイメージ) Consu1961-iStock
また、フランス各地の著名な美術館や観光名所が新旧の日本文化を受け入れた。1900年のパリ万博のために建てられた美術館「プティ・パレ」で開かれた「若冲」展では、江戸時代の絵師、伊藤若冲(じゃくちゅう)の傑作が欧州初の大規模公開となった。セーヌ川に浮かぶセガン島ではバーチャルアイドル「初音ミク」のコンサートにファンが熱狂、映画好きが集まる「シネマテーク・フランセーズ」では日本映画119本が上映された。さらにはブローニュの森で日本各地の伝統的な「祭り」を再現し、パリっ子たちが「よさこい」や「阿波踊り」に歓喜した。
- 1/4
- 次のページ