【写真特集】騙されて子宮を奪われるインドの農民女性たち

2021年4月3日(土)15時30分
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<かつて医師の稼ぎの中心は中絶手術だったが、避妊が容易になったことで子宮摘出が新たな儲けの手段になっている>

2019年4月、インドのマハラシュトラ州のサトウキビ農園で働く数千人の女性たちが不必要な子宮摘出術を受けさせられている事実が発覚し、スキャンダルとなった。女性たちが十分な知識を持たないことに付け込み、健康診断などの際に子宮摘出が必要だと信じ込ませていたという。

かつて医師たちの稼ぎの中心は中絶手術だったが、避妊が比較的容易になったことで、子宮摘出が新たな儲けの手段になったようだ。その標的として、農園の女性は最適だった。大規模農園の多くは法規制を無視した違法状態にあり、労働組合や社会・医療保険もない。また過酷な肉体労働で、医師を頼る機会も多かった。

農園の請負業者にとっても、月経を止めて生産性を向上させる子宮摘出は都合がいい。こうした虐待行為は、インド経済の民営化と自由化で、過剰な利益追求が広がるにつれて多く見られるようになった。

同地の貧困問題は深刻で、劣悪な労働環境ながら人々には農園での仕事以外の選択肢がない。また事件後も、政府は具体的な法律や処罰を制定しておらず、金儲けのために女性の体が傷つく状況が改められる見通しは暗い。

29歳の彼女は14歳の頃からサトウキビ農園で働いている。重い生理痛に悩んで病院を訪れたところ、子宮摘出手術を受けさせられたという。診療記録は一切なく、身体の不調は手術後も改善しなかった


子宮摘出の手術を行う医師。マハラシュトラ州では現在、手術の前に保健当局の認可を取ることを医師たちに求めている。しかし運用は厳密ではなく、女性の40%近くが子宮を持たない村もある


2年前に受けた子宮摘出手術の痕が今も生々しく残る。彼女の農園労働の賃金の半分は手術の合併症の治療に消えてしまう。執刀した医師はカルテを残さず、術後のケアは一切拒否している


請負業者の彼は毎年、マハラシュトラ州で250人以上を集め、6カ月間の労働のために遠隔地の農園に送り込む。子宮摘出の費用として賃金を前借りさせ、法外な利子で女性の自由を奪うことも多い

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