私は、古今東西の偉大な芸術家たちにインスパイアされて創作してきた。
俵屋宗達、モネ、ファン・ゴッホ、ピカソ、ルソー、バーナード・リーチ、棟方志功──さまざまな芸術家たちは私の憧れであり、創作の源であり、いちばんの応援者でもあった。その中に、私はいつしか高階秀爾を数えていたのだ。
高階先生は、アートそのものだった。先生は、もういない。先生は、どこへ行ってしまったのだろうか。
知っている。先生は、芸術家たちが織りなす星座の仲間入りをした。私たちの行方を照らし、導く、道標の星々のひとつになったのだ。
高階秀爾という名の輝く星。その星影に照らされて、果てしない創作の道をたゆまず歩んでいこう。私は、そう心を決めている。
原田マハ(Maha Harada)
1962年生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。伊藤忠商事、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館への派遣を経て、フリーのキュレーターとして活動。『カフーを待ちわびて』(宝島社)で日本ラブストーリー大賞を受賞し、作家デビュー。著書に『楽園のカンヴァス』(新潮社、山本周五郎賞)、『リーチ先生』(集英社、新田次郎文学賞)など多数。
『アステイオン102』
公益財団法人サントリー文化財団・アステイオン編集委員会[編]
CEメディアハウス[刊]
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