【写真2】シピボのオナヤと妻 筆者撮影
南米大陸の8カ国を跨いで広がるアマゾン盆地には、同地域における総人口の約9%にあたる200万人超(※1)、約350の民族集団(※2)から構成される「アマゾンの先住民」が暮らしている【写真1】。
このうち、ブラジルに次ぐ先住民人口を擁するペルーには、51の民族集団からなる約33万人の先住民がいるという(※3)。
本稿が光をあてるのは、その数3万4000人と言われる(※4)ペルー東部アマゾンの先住民、シピボ・コニボ(以下、シピボ)の「オナヤ」と呼ばれる治療師たちの今である【写真2】。
シピボは、ここ数十年で欧米人に最も知られるアマゾンの先住民の1つとなった。彼らを有名にしたもの、それは「アヤワスカ」と呼ばれる幻覚性植物を摂取する治療儀礼である。
アヤワスカとは、Banisteriopsis caapi【写真3】とPsychotria viridis【写真4】と呼ばれる2種類の植物を煮出して作る飲料【写真5】(※5)で、飲むものに強力な変性意識状態とヴィジョンと呼ばれる幻覚世界をもたらす。
アマゾンの先住民コミュニティに遍在するシャーマンや治療師たちは、アヤワスカを飲むことでもたらされるヴィジョンを、精霊と総称される非人間たちと意思疎通を図り特別な力を授かるための媒体として用いてきた。
アヤワスカは、基本的に修行を積んだものが摂取する特別なものであり、口承によってのみ伝えられるその使用法の真髄は秘技とすらいえる。
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