コラム

「統一教会」日米での政治工作の歴史...背景には韓国「情報機関」による庇護も

2022年07月23日(土)19時37分

日本でも、反共産主義を推し進めることにアメリカ側と合意して、後ろ盾をもらっていた安倍元首相の祖父である岸信介元首相が、同じ流れで旧統一教会と関与するようになっていった。もちろん、その背後には、アジアの共産化を阻止したいアメリカとCIAの動きがあったのは間違いない。

ところが、文鮮明氏が1972年にアメリカに移住し、アメリカでの活動を活発化させるようになると、今度はアメリカ国内での影響力が広がることへの懸念が、米政界で強まるようになる。1977年には米下院の国際情勢委員会で、民主党議員を中心に報告書がまとめられ、KCIAが文鮮明氏と結託して進めた韓国の影響工作に米議会の100人以上が関与したと指摘している。この騒動は「コリア・ゲート」と呼ばれた。

イベントではブッシュやトランプが講演

旧統一教会は、その後も引き続き米政界に近づいた。例えば、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領は多額の講演料で旧統一教会のイベントに多数登場して、密接さを見せつけていた。ブッシュの1回の講演料は8万ドル以上だった可能性があると米ワシントン・ポスト紙は指摘している。

2021年5月には、旧統一教会の関連イベントに、アメリカのマイク・ペンス前副大統領と、マイク・ポンペオ前国務長官、マーク・エスパー元国防長官が登場。潘基文・元国連事務総長も登場した。同年9月には、ドナルド・トランプ前大統領も別の旧統一教会系のイベントでスピーチしている。そもそも共和党は旧統一教会と繋がりを持っていた。

スパイや政界ともつながってきた旧統一教会。その詳細は、「スパイチャンネル~山田敏弘」でさらに解説しているので、ぜひご覧いただきたい。

プロフィール

山田敏弘

国際情勢アナリスト、国際ジャーナリスト、日本大学客員研究員。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版、MIT(マサチューセッツ工科大学)フルブライトフェローを経てフリーに。クーリエ・ジャポンITメディア・ビジネスオンライン、ニューズウィーク日本版、Forbes JAPANなどのサイトでコラム連載中。著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』、『CIAスパイ養成官』、『サイバー戦争の今』、『世界のスパイから喰いモノにされる日本』、『死体格差 異状死17万人の衝撃』。最新刊は『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』。
twitter.com/yamadajour
YouTube「スパイチャンネル」
筆者の過去記事一覧はこちら

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

衆院選、自民単独で300議席超 維新と合わせ3分の

ワールド

選挙終盤に響いたママの一言、「戦争の足音」感じた有

ワールド

衆院選きょう投開票、自民が終盤まで優勢 無党派層で

ワールド

イスラエル首相、トランプ氏と11日会談 イラン巡り
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 3
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本版独占試写会 60名様ご招待
  • 4
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 5
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 6
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 7
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 8
    心停止の8割は自宅で起きている──ドラマが広める危険…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story