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トマトやスイカに含まれる「白い天然色素」が寿命を延ばす?──アルツハイマー予防への新たな可能性

A Superfood to Fight Dementia

2025年10月22日(水)19時03分
ハティ・ウィルモス
トマトやスイカに含まれる「白い天然色素」が寿命を延ばす?──アルツハイマー予防への新たな可能性

MARILYN BARBONE/SHUTTERSTOCK

<スペインと英国の研究チームによる最新の実験で、栄養素「フィトエン」が寿命を延ばしアルツハイマー病を防ぐ可能性があることが分かってきた>

最近の研究で、トマトやアンズ、ニンジン、赤ピーマン、オレンジ、ミカン、スイカといった果物・野菜や一部の藻類に多く含まれる「フィトエン」という物質に、人間の寿命を延ばし、アルツハイマー病を予防する効果が期待できることが分かってきた。

研究を行ったのはスペインのセビリア大学とイギリスのケント大学の研究チームだ。線虫の一種C・エレガンスにフィトエンを多く含む微細藻類を与えたところ、線虫の寿命は10〜18.6%延び、アミロイドβというタンパク質の蓄積によるダメージは30〜40%減少したという。

アルツハイマー病の患者の脳にはアミロイドβの蓄積がみられ、病気を引き起こす原因と考えられている。この物質は、はっきりと分かる症状が出る前から長い時間をかけて脳内に蓄積される。


つまりこの実験結果は、将来的にフィトエンがアルツハイマー病の新たな予防法の開発につながる可能性があることを示している。ただし、人間でも同じような効果が得られるかどうかを確かめるにはさらなる研究が必要だ。

「驚いたのは、(線虫に与えた)微細藻類からの抽出物が、私たちが実験した健康に関する全ての項目でプラスの効果をもたらしたということだ」と、本研究の共同執筆者でケント大学の生物学者、マリナ・エスクラは本誌に語った。

微細藻類を食べた線虫は寿命が延びアルツハイマー病を発症しにくくなったばかりでなく、酸化ストレスに対しての抵抗力も高まったという。

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