最新記事
ウクライナ情勢

ロシア、ウクライナから侵入した工作員撃退 「70人超の民族主義者を殺害、4台の装甲車を破壊」

2023年5月24日(水)09時42分
ロイター
ロシア西部ベルゴロド州での戦闘の様子

ロシア当局は23日、ウクライナと国境を接する西部ベルゴロド州にウクライナ側から侵入してきたとする戦闘員の集団を、2日間にわたる戦闘の末に撃退したと発表した。提供画像(2023年 ロイター)

ロシア当局は23日、ウクライナと国境を接する西部ベルゴロド州にウクライナ側から侵入してきたとする戦闘員の集団を、2日間にわたる戦闘の末に撃退したと発表した。こうした戦闘はロシアによるウクライナ全面侵攻開始以降で最大規模だったとみられている。

戦闘の終了は確認はできていないものの、襲撃の背後にいると主張する2つのグループのうち1つが「われわれはいつの日か、またここに戻ってくる」とソーシャルメディアに投稿した。

ロシア軍は、70人を超える「ウクライナの民族主義者」を殺害し、4台の装甲車を破壊したと発表。ロシア国防省は「国粋主義者の残党をウクライナ領に押し戻した。完全に排除するまで銃撃を続けた」と表明した。

この戦闘により、ロシアはウクライナ国境沿いの地域から住民を避難。ベルゴロド州のグラトコフ知事は23日、前日の戦闘を受け導入された反テロリズム対策が解除されたと明らかにした。

今回の攻撃に関与を表明したのは「自由ロシア軍団」と「ロシア義勇軍団」という2つのグループ。双方ともロシアのプーチン政権打倒を掲げるロシアの戦闘員で構成されていると表明している。

ロンドンに本拠を置くマヤク・インテリジェンスのマーク・ガレオッティ代表は、過激派グループはプーチン政権打倒を掲げるさまざまな政治的観点を内包していると指摘。同時に「これらは独立した勢力ではないと認識しなければならない」とし、「ウクライナの軍事情報機関にコントロールされており、ウクライナから兵器供給と支援を受けている」と述べた。

ウクライナは関与を公式に否定している。ポドリャク大統領顧問は「ウクライナは関与していない」とツイッターに投稿。皮肉を込めて「周知の通り、戦車はロシアの軍需店で売られているし、地下組織のゲリラ集団はロシア国民で構成されている」とした。

ロシアは、ウクライナの破壊工作集団が攻撃を仕掛けたと主張。ペスコフ大統領報道官は「ウクライナの過激派がロシアに対する活動を続けていることが改めて確認された」と述べた。攻撃を仕掛けた戦闘員がロシア人だったと報道については「ウクライナには多くのロシア系民族が住んでいる」とし、攻撃を仕掛けたのは「ウクライナ出身の戦闘員」だったとの見方を示した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

経営
「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑むウェルビーイング経営
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB0.25%利下げ、3会合連続 3人が決定に反

ビジネス

FRBに十分な利下げ余地、追加措置必要の可能性も=

ビジネス

米雇用コスト、第3四半期は前期比0.8%上昇 予想

ワールド

米地裁、トランプ氏のLAへの派兵中止命じる 大統領
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中