最新記事
北朝鮮

北朝鮮の「プリンセス」キム・ジュエ、栄養失調の国民よそに仏高級ブランドまとう

2023年3月23日(木)20時37分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
金正恩と娘の金主愛(キム・ジュエ)

10歳にしてディオールを着こなす金主愛(キム・ジュエ) YTN / YouTube

<最近、秘密のベールから姿を見せはじめた少女は新たな独裁者か>

食糧難が深刻で多くの国民が栄養失調に苦しんでいる北朝鮮。だが、金正恩国務委員長の娘、金主愛(キム・ジュエ)にとっては、そんな国民の貧困は全く預かり知らないようで、公開された写真からはクリスチャン・ディオールのコートを来ていることが判明した。イーデイリー、YTNなどの韓国メディアが報じている。

3月16日、北朝鮮の朝鮮中央TVは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、火星17型を発射した翌日の17日、金正恩と娘のジュエが同行した写真を公開した。

このときジュエが着た黒いコートはフランスのクリスチャン・ディオールのものであることが分かった。フードが付いたこのコートはディオールの「キッズ・フード・ダウンジャケット」で、四角と菱形が重なったディオール特有のデザインが特徴だ。

これまでジュエは金ボタンの付いた黒のロングコートを着ていたが、今回初めて欧米のハイブランドの服を着た姿が確認された。

両親とも欧米の高級ブランドが大好き!?

ジュエの欧米の高級ブランドが好きなのは両親譲りなのかもしれない。金正恩の夫人李雪主(リ・ソルジュ)も数百万ウォンするディオールのハンドバックやティファニーのネックレスを付け、グッチやベルサーチのワンピースを着ることがたびたび目撃されている。

金正恩自身も2020年10月10日の党創建75周年記念閲兵式では、「人民に災難を乗り越えよう」と演説し、と演説し、愛民国民を愛する指導者像を演出をしたが、その日140万円もするスイスIWCのポートフィノ・オートマティック腕時計を付けていたことが確認され、海外メディアから批判された。

北朝鮮は国民には国産品の使用を奨励している。ブランドものの時計や洋服、アクセサリーなどの贅沢品は対北朝鮮制裁品目でもある。このような状況にあっても、今回のジュエの写真を通じて金一族が高級ブランド品の浪費を継続している姿が再び確認されたことになる。

韓国統一研究院のチョン·ウニ研究委員は「ブランド品かどうかは不確実だが、一応高級で洗練されたファッションとみられる」としたうえで、「一部反感もあり得るが、北朝鮮でも女性が経済的主体として影響力が大きくなっている状況で、羨望の対象としてキム・ジュエ氏を位置づける狙いがあるのかもしれない」と分析した。

一方、エリザベス・サルモン国連北朝鮮人権特別報告官は3月9日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に提出した報告書によると、北朝鮮では食糧難が深刻になり、全人口の42%くらいが栄養失調に苦しんでいることが把握された。

報告書では2019年から2021年の間に北朝鮮の人口の41.6%は、栄養失調で苦痛を強いられたものと推定され、「大半の家庭では一日三食を食べることが贅沢なものとなった」と明らかにしている。

>>【動画】世界でただ一人、金正恩の顔を撫でまわす女

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB、0.25%の利下げ決定 昨年12月以来6会

ビジネス

FRB独立性侵害なら「深刻な影響」、独連銀総裁が警

ワールド

核問題巡り平行線、イランと欧州3カ国が外相協議

ビジネス

ユーチューブ、メディア収益でディズニー超えへ AI
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中