最新記事

月探査計画

NASAの超小型人工衛星、有人宇宙ステーション建設予定の月周回軌道で運用テストへ

2022年7月4日(月)18時45分
松岡由希子

「キャップストーン」は、月長楕円極軌道を周回する初の衛星となる...... Credit: Advanced Space/Tyvak, a Terran Orbital Company

<NASAの超小型人工衛星「キャップストーン」が、6日半の周期で月の周りを南北に回る月長楕円極軌道(NRHO)に向けて打ち上げられた......>

ロケットラボ社の小型液体燃料ロケット「エレクトロン」に搭載されたNASA(アメリカ航空宇宙局)の超小型人工衛星「キャップストーン(CAPSTONE)」が2022年6月28日午前5時55分(東部夏時間)、ニュージーランド北島マヒア半島の発射場から打ち上げられた。

電子レンジサイズの小型人工衛星「キャップストーン」

「キャップストーン」は重さわずか55ポンド(約25キロ)の電子レンジサイズの小型人工衛星だ。現在、ロケットラボの小型衛星プラットフォーム「ルナー・フォトン」に接続された状態で地球低軌道(LEO)にある。

「ルナー・フォトン」は6日間、定期的にエンジンを点火して加速した後、「キャップストーン」を地球低軌道から宇宙空間へと放出する予定だ。「キャップストーン」はその後、自身の推進力と太陽の重力を利用し、約4カ月かけて月周回軌道に達する見込みとなっている。

月探査計画の有人宇宙ステーション「ゲートウェイ」構想

NASAが主導する月探査計画「アルテミス」では、有人宇宙ステーション「ゲートウェイ」の建設が構想されている。「ゲートウェイ」は6日半の周期で月の周りを南北に回る月長楕円極軌道(NRHO)に設置される計画だ。この軌道は月の北極で1000マイル(約1609キロ)以内にまで最接近し、南極で4万3500マイル(約7万キロ)と最も離れる。

Lunar_Orbital_Platform-Gateway.jpg

月を周回する月軌道プラットフォームゲートウェイの想像図 NASA


地球と月の重力の平衡点に位置するため、「ゲートウェイ」のような長期ミッションを安定的に運用でき、その維持に要するエネルギーを最小化できると考えられている。

「キャップストーン」は、月長楕円極軌道を周回する初の衛星となる。月長楕円極軌道の力学の実証やナビゲーション技術の検証などをミッションとして、6カ月以上、この軌道を周回し、データを収集する予定だ。

【動画】>>■■【動画】月長楕円極軌道に設置される有人宇宙ステーション「ゲートウェイ」■■

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾総統、強権的な指導者崇拝を批判 中国軍事パレー

ワールド

セルビアはロシアとの協力関係の改善望む=ブチッチ大

ワールド

EU気候変動目標の交渉、フランスが首脳レベルへの引

ワールド

米高裁も不法移民送還に違法判断、政権の「敵性外国人
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 9
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中