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北朝鮮が飛翔体発射、弾道ミサイルの可能性 日本のEEZ外に落下か

2022年1月11日(火)08時44分
北朝鮮のミサイル発射実験

海上保安庁は7時29分、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表した。写真は1月6日に北朝鮮が発射したミサイル。

韓国軍は11日午前、北朝鮮が弾道ミサイルの可能性がある飛翔(ひしょう)体1発を発射したと発表した。日本の防衛省は、飛行距離を700キロ未満と分析。日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定している。北朝鮮が飛翔体を発射するのは5日以来、今年2回目。

韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は11日午前7時27分ごろ、内陸から東方向に飛翔体を発射。岸田文雄首相は「国連安全保障理事会で対応が協議されたところだ。こうした事態に北朝鮮が継続してミサイルを発射していることは極めて遺憾」と述べた。

韓国軍合同参謀本部は「韓国軍は万全の態勢を維持しており、米国との緊密な連携の下、再発射の準備に関する動向に細心の注意を払っている」と表明した。韓国と米国の情報機関は追加情報について詳細な分析を行っているという。

日本の防衛省によると、通常軌道であれば飛行距離は700キロ未満。岸防衛相は同日午前の記者会見で、「いわゆる敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、防衛力の抜本的な強化に取り組む」と語った。

北朝鮮が飛翔体を発射するのは今月5日に続いて今年2回目。朝鮮中央通信(KCNA)は6日、「極超音速ミサイル」の発射実験に成功したと伝えた。

ロイターは米国務省にコメントを求めたが、まだ回答を得られていない。

ソウルの梨花女子大学校のレイフエリック・イーズリー教授は、北朝鮮はミサイル発射実験を繰り返すことで自衛能力を段階的に改善している国であるかのように見せかけようとしていると指摘。「同時に、北朝鮮は国際的な制裁に挑戦し、国連安全保障理事会が分裂している間に何ができるかを試している」と述べた。

トーマス・グリーンフィールド米国連大使は日本やフランス、英国などを代表し、5日の発射を非難する声明を出したばかり。発射は「地域の安定に重大な脅威をもたらす」とし、北朝鮮による軍事投資は国民の生活を犠牲にしていると批判した。北朝鮮に対話への復帰とミサイル・核開発計画の放棄を改めて要請した。

(久保信博、青山敦子)

[ロイター]


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