最新記事

パンデミック

世界に広がり始めたオミクロン株 リスクと今できることは?

2021年11月29日(月)10時38分
ボストンの空港

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が最初に南アフリカで見つかった後、たちまち欧州やアジアに広がり、世界中で懸念が強まっている。ボストンの空港で11日撮影(2021年 ロイター/Brian Snyder)

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が最初に南アフリカで見つかった後、たちまち欧州やアジアに広がり、世界中で懸念が強まっている。変異カ所が非常に多く、感染力が高まる、あるいは感染やワクチンで獲得した免疫をすり抜ける能力が強化されるのではないかとの見方が背景にある。

オミクロン株の検出を受け、26日には複数の国が新たな渡航・入国制限を発表した。製薬業界は、自社のワクチンがなお有効かどうか急いで調査に乗り出している。

◎科学者が懸念する理由

世界保健機関(WHO)は26日、オミクロン株を「懸念すべき変異株」に指定。他の株よりも急速に拡大するかもしれないと警鐘を鳴らした。

世界ではなお、流行の主流はデルタ株で、米国では感染者の99.9%を占めている。ピッツバーグ大学医療センターのグラハム・シュナイダー博士によると、オミクロン株がデルタ株に置き換わるかどうかはまだはっきりしていない。

ただオミクロン株は、現在のワクチンが標的としている部分において30カ所を超える変異がある。南アでの新規感染者急増を主導している疑いも出ている。

コロンビア大学のデービッド・ホー教授(微生物学・免疫学)は、これまでに作製された抗体を含めて幾つかの新型コロナウイルスの治療手段がオミクロン株によって無効化される公算が大きいとの見方を示した。

一方、ファイザーの「パクスロビド」やメルクの「モルヌピラビル」といった開発中の抗ウイルス薬は、オミクロン株の中で従来と変異していない部分を標的にしており、ワクチンや感染による免疫が脅かされるとすれば、一段と重要性が増す可能性がある。

◎最大の疑問

科学者によると、オミクロン株が引き起こす症状を特定し、感染力の強さや既にどの程度拡大したかを把握するにはあと数週間が必要だ。

同じく南アで最初に発見されたベータ株など、他の変異株は最終的にデルタ株に置き換わったとの指摘も出ている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、第2四半期3%増とプラス回復 国内需要は

ワールド

イラン核施設への新たな攻撃を懸念=ロシア外務省報道

ワールド

USスチール、米国人取締役3人指名 米軍・防衛企業

ワールド

イスラエル閣僚、「ガザ併合」示唆 ハマスへの圧力強
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中