最新記事

フィリピン

元俳優のマニラ市長、マルコス元大統領長男ら出馬や指名 混戦の比2022大統領選

2021年9月25日(土)20時53分
大塚智彦
マニラ市のイスコ・モレノ市長(左)とは医療アドバイザーのウィリー・オン氏

2022年の正副大統領選挙への出馬を表明したマニラ市のイスコ・モレノ市長(左)とウィリー・オン氏 REUTERS

<正副大統領それぞれを選ぶフィリピンの選挙は早くも過熱ぎみ>

2022年5月に行われるフィリピンの正副大統領選挙。現職のドゥテルテ大統領、世界的なプロボクサーのマニー・パッキャオ上院議員についで、元俳優のマニラ市長、マルコス元大統領の長男が相次いで大統領選出馬を表明したり、政党指名を受けて次々と「参戦」。今後の混戦が確実な状況となってきた。

こうしたなか、いまだに候補者が決まらない野党側が、政権交代を目指すために「確実に勝てる候補者」が擁立できるかどうかが今後の最大の焦点となっている。

9月24日、マルコス元大統領が創設した政党「連邦党」はマルコス元大統領の長男、フェルナンド・マルコス・ジュニア(愛称ボンボン・マルコス)前上院議員を2022年の大統領選で「大統領候補」として指名することを決めた。

ボンボン・マルコス氏は「40年以上にわたる(マルコス一族への)支持に感謝する。大統領候補としての指名は本当にうれしいし、感謝している」としながらも「今後どうするかは側近や家族、仲間たちと協議して近いうちに最終的に決めたい」として「大統領候補」としての指名を正式に受諾するかどうかの態度を留保し明らかにしなかった。   

人気のマニラ市長が出馬表明

ボンボン・マルコス氏に先立ち9月22日にはマニラ市のイスコ・モレノ市長(本名フランシスコ・ドマゴソ)が大統領選への立候補を表明した。

ともに選挙戦を戦うペアとしてモレノ市長が副大統領候補として選んだのは医療アドバイザーとしてSNSなどで情報発信を続けているウィリー・オン氏で、当選した場合にはコロナ対策を最優先課題として徹底的に行う姿勢を示している。

モレノ市長はマニラ首都圏の貧困地域トンドの出身でごみ回収業やペディキャブの運転手などを経験した貧困層から俳優としてスカウトされて芸能界にデビューした異色の経歴の持ち主。芸名のイスコ・モレノとして知名度が高く、またその経歴から貧困層や女性の支持も強く「清潔な政治家」としての期待も高まっている。

マニラ市議会議員、副市長を経験し市政に通じたモレノ市長は「大統領候補として私を受け入れてほしい。完璧な政府を与えられないかもしれないが、共にフィリピンをよくしていこう」と国民に呼びかけた。

与党の分裂も混戦の一因に

大統領選を巡っては最大与党「PDPラバン」が9月8日にすでにドゥテルテ大統領を副大統領候補として指名、党の正式な候補者となっている。フィリピンの憲法では大統領は「1期6年」と規定されているため大統領候補として再出馬ができないためだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アップル、EUにデジタル市場法規則の精査要求 サー

ワールド

インドネシア、無料給食で1000人超が食中毒 目玉

ビジネス

フリーポート、インドネシア鉱山で不可抗力宣言、 銅

ワールド

ホワイトハウス、政府閉鎖に備え「大量解雇」の計画指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...「文学界の異変」が起きた本当の理由
  • 2
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 3
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市場、売上を伸ばす老舗ブランドの戦略は?
  • 4
    【クイズ】ハーバード大学ではない...アメリカの「大…
  • 5
    クールジャパン戦略は破綻したのか
  • 6
    週にたった1回の「抹茶」で入院することに...米女性…
  • 7
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 8
    トランプの支持率さらに低下──関税が最大の足かせ、…
  • 9
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 10
    9月23日に大量の隕石が地球に接近していた...NASAは…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 5
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 6
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 7
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 8
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 9
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 10
    「ミイラはエジプト」はもう古い?...「世界最古のミ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中