最新記事

アフガン情勢

政府、アフガニスタンに自衛隊機を派遣 大使館の現地スタッフと家族も含め退避へ

2021年8月23日(月)13時58分
自衛隊のC130輸送機

加藤勝信官房長官は23日、イスラム主義組織タリバンが実権を掌握したアフガニスタンに残る日本人らを退避させるため、自衛隊機を同国に派遣する方針を表明した。 写真はネパール地震の被災地へ運ぶ物資をC130輸送機に積み込む日本の自衛隊。2015年4月、埼玉県の入間基地で撮影(2021年  REUTERS/Joint Staff of the Defence Ministry of Japan/Handout via Reuters)

加藤勝信官房長官は23日、イスラム主義組織タリバンが実権を掌握したアフガニスタンに残る日本人らを退避させるため、自衛隊機を同国に派遣する方針を表明した。アフガン情勢を議論する24日の主要7カ国(G7)緊急首脳会議に菅義偉首相が参加し、人道支援で連携することも明らかにした。同日午前の記者会見で語った。

加藤官房長官は「アフガニスタンからの出国を希望する方々の安全な退避が国際社会にとって最も喫緊の課題になっている」とし、「自衛隊部隊を派遣して調整が整い次第、輸送活動を開始する」と述べた。自国軍用機の現地派遣で先行する欧米などと足並みをそろえる。

輸送機1機をきょう夕方に第1陣として出発させ、最終的にはC130輸送機2機と、C2輸送機1機を輸送任務に充てる予定。加藤氏は「カブール空港では米軍が空港内とその周辺で安全確保や周辺区域での航空管制を行い、航空機の離発着が正常に行われている」と述べ、安全性は確保されていると強調した。

自衛隊機を派遣する場合の相手国の同意に関しては「関係し得る当事者と、同意を得るべく意思疎通を図っている」とした。日本人の退避を目的としたものであり、「仮に明確な同意がなくても国際法上の問題はない」との認識も示した。

対象とする日本人に加えて、大使館や国際協力機構(JICA)職員やその家族も含め、「アフガニスタン国籍の方を日本に受け入れることも想定し得る」とし、新型コロナウイルス感染拡大抑止に向けた水際対策を徹底する考えも併せて示した。

記者会見では、横浜市長選を受けた国政への影響を問われ、衆院解散について「首相の専権事項でコメントすることはない」と述べるにとどめた。選挙戦で焦点となったカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致に関しても明言を避けた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・タリバン大攻勢を生んだ3つの理由──9.11以来の大転換を迎えるアフガニスタン
・タリバンが米中の力関係を逆転させる
・<カブール陥落>米大使館の屋上からヘリで脱出する「サイゴン陥落」再び


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米リバースレポの利用枯渇、FRBの量的引き締めは先

ワールド

米連邦緊急事態管理局、職員の新規採用凍結を年末まで

ビジネス

EU、アドテック巡りグーグルに少額の制裁金科す見込

ビジネス

午前の日経平均は大幅続落し4万2000円割れ、半導
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマンスも変える「頸部トレーニング」の真実とは?
  • 3
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シャロン・ストーンの過激衣装にネット衝撃
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 6
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 10
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあ…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 9
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中