最新記事

東アジア

尖閣問題への米軍介入で中国軍との戦闘は不可避──仮想「東シナ海戦争」の結末

SLAUGHTER IN THE EAST CHINA SEA

2020年9月23日(水)20時15分
マイケル・ペック(防衛ライター)

一方、米軍航空機は約2500キロ離れたグアムの基地か、航空機がひしめき、攻撃にさらされやすい沖縄の基地が拠点だ。ミサイルを発射した後、基地に戻って再装塡し、作戦地帯に戻るまでには何時間もかかる。

戦争行為は着実にエスカレートする。これこそ、今回のシミュレーションの最も重要な点だ。対立が始まった時点で、米中に互いを攻撃する意図はなかった。だがゲームが終わる頃には、両軍は艦船や航空機を破壊し合っていた。双方とも領有権争いを地域限定の対立にとどめるつもりだったのに、中国が沖縄にミサイルを発射する事態に発展した。

そこから浮かび上がるのは、ホワイトハウスの主にとって厄介な問いだ。トランプ政権は尖閣諸島の領有権問題で日本を支持すると言明しており、来年誕生する新たな米政権も同じ道を選ぶはずだ。

CNASの戦争ゲームが示すように、日中対立において日本の肩を持てば、米中の武力衝突というリスクが付きまとう。米中間で戦争行為が始まれば、歯止めがかけられないかもしれない。

From Foreign Policy Magazine

<2020年9月22日号掲載>

【関連記事】中国とのライバル関係を深刻に扱うべきでない理由
【関連記事】中国は「第三次大戦を準備している」

20200929issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月29日号(9月23日発売)は「コロナで世界に貢献した グッドカンパニー50」特集。利益も上げる世界と日本の「良き企業」50社[PLUS]進撃のBTS

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

船舶向けLNG需要、2030年までに少なくとも倍増

ビジネス

S&P中国法人に業務是正警告、証券当局が監督強化

ワールド

「ウクライナ敗北は中国の攻撃姿勢強める」 台湾軍幹

ビジネス

9月の米雇用、民間データで停滞示唆 FRBは利下げ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中