最新記事

テロ

パリ刃物襲撃で2人負傷、シャルリエブド元本社前 テロ容疑で7人を拘束、捜査

2020年9月26日(土)10時53分

2015年に襲撃事件が発生したパリの風刺週刊紙「シャルリエブド」の元本社付近で、少なくとも2人が刃物で襲われ負傷。対テロ検察局が現在、捜査を進めている。写真は9月25日、パリの事件現場付近で撮影(2020年 ロイター/Charles Platiau)

2015年に襲撃事件が発生したパリの風刺週刊紙「シャルリエブド」の元本社前で25日、男女2人が大型の刃物で襲われ負傷した。事件が発生した場所が象徴的な意味を持つことから、仏検察は暫定的にテロリズムに関連する事件として対応している。

負傷した2人はシャルリエブドの本社があった建物に入居する番組制作会社の職員。休憩中に建物前の路上でたばこを吸っていた際に襲撃された。当局によると、2人は病院に搬送されたが、命に別状はない。

警察は現場から約500メートル離れたオペラハウスの階段で、実行犯とみられる容疑者の身柄を拘束。拘束時、衣服に血痕が付いていた。警察関係者はロイターに対し、容疑者は18歳のパキスタン系住民と明らかにした。

仏内務省は同容疑者について、治安当局の監視リストに入っていなかったとした上で、1カ月前にも武器所持で拘束され、その後釈放されていたと述べた。

2人目の容疑者の身柄も拘束され、検察当局は実行犯との関連を調べている。警察当局によると、この容疑者はアルジェリア系住民。

ある司法関係者はロイターに対し、警察がパリ北東部郊外で捜索を行い、さらに5人を拘束したと明らかにした。

現場を訪れたカステックス首相は「政府は断固としてテロリズムに対抗する」と述べた。

目撃者はヨーロッパ1ラジオに対し、「オフィスにいたら路上から叫び声が聞こえた。窓から見ると、女性が倒れており、顔面にマチェーテ(なた)による襲撃とみられるけがをしていた。2人目が倒れているのも見え、助けを呼んだ」と述べた。

警察関係者によると、襲撃現場でマチェーテと肉切り大包丁が発見された。

シャルリエブドはイスラム教を繰り返し風刺。15年1月に発生した襲撃事件では12人が死亡し、今月2日に容疑者14人に対する公判がパリで始まった。

シャルリエブドは15年の襲撃事件後、この建物から撤去。今回の事件を受け、「こうした事件でわれわれは恐怖で震え上がることはなく、逆に価値の保全に向け決意を一段と強める」とする声明を発表した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア開発のコロナワクチン「スプートニクV」、ウイルスの有害な変異促す危険性
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・パンデミック後には大規模な騒乱が起こる
・ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死


ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米大統領とイスラエル首相、ガザ計画の次の段階を協議

ワールド

中国軍、30日に台湾周辺で実弾射撃訓練 戦闘即応態

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、主力株の一角軟調

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平の進展期待 ゼレンスキー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中