最新記事

人権問題

米最高裁、性的マイノリティの雇用差別禁止を支持 同性婚合法に続く歴史的判断

2020年6月16日(火)09時38分

米連邦最高裁判所は性に基づく雇用差別を禁止している1964年公民権法第7編が、同性愛や心と体の性が一致しないトランスジェンダーの労働者の権利も保護しているとの判決を下した(2020年 ロイター/Tom Brenner)

米連邦最高裁判所は15日、性に基づく雇用差別を禁止している1964年公民権法第7編が、同性愛や心と体の性が一致しないトランスジェンダーの労働者の権利も保護しているとの判決を下した。

こうした問題を理由にニューヨーク州やジョージア州などで雇用主から解雇された3人が不当性を主張し、第7編の適用範囲を巡る最高裁の解釈に注目が集まっていた中で、同性愛者の結婚を合法とした2015年に続き、LGBTなどの性的少数者にとって画期的な判断が示された形だ。

最高裁判事のうち4人のリベラル派に加え、トランプ政権が17年に任命した保守派のゴーサッチ判事と、同じく保守派のロバーツ長官が今回の決定を支持した。他の保守派3人が反対に回った。

同性愛者やトランスジェンダーに対する職場での差別は今もなお米国内で根強く、28の州は包括的な対策を講じていない。性的少数者に厳しいキリスト福音派を支持層とするトランプ大統領も就任以来、同性愛者やトランスジェンダーの権利を損なうような言動をしてきた。

ただトランプ氏はホワイトハウスで記者団に、最高裁の判断は非常に重い意味があると指摘し、「彼らが判断を下し、われわれはその判断と折り合っていく」と述べた。

提訴した原告3人の中で2人は既に亡くなっている。唯一残ったのはジョージア州で同性愛者のクラブに加入した後、福祉関係の仕事を失ったジェラルド・ボストックさんで、「われわれを歴史的な瞬間にいざなうプロセスに参加していることを誇りに思う」などとコメントした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・米シアトルで抗議デモ隊が「自治区」設立を宣言──軍の治安出動はあるか
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・自殺かリンチか、差別に怒るアメリカで木に吊るされた黒人の遺体発見が相次ぐ
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200623issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月23日号(6月16日発売)は「コロナ時代の個人情報」特集。各国で採用が進む「スマホで接触追跡・感染監視」システムの是非。第2波を防ぐため、プライバシーは諦めるべきなのか。コロナ危機はまだ終わっていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中