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トランプ弾劾

ホワイトハウス、トランプ弾劾調査に協力拒否 「憲法上の手続きに違反」

2019年10月9日(水)11時00分

米ホワイトハウスは、野党民主党が多数派を占める下院による大統領弾劾調査は憲法が保障する適正手続きに違反していると批判し、「違憲な」調査への協力は拒否すると表明した。写真はゴードン・ソンドランド欧州連合(EU)大使。ブリュッセルで6月撮影(2019年 ロイター/FRANCOIS LENOIR)

米ホワイトハウスは8日、野党民主党が多数派を占める下院による大統領弾劾調査は憲法が保障する適正手続きに違反していると批判し、「違憲な」調査への協力は拒否すると表明した。

トランプ政権はこの数時間前に、大統領弾劾調査の一環として予定されていたゴードン・ソンドランド欧州連合(EU)大使の下院委員会での証言を突如として拒否し、対立姿勢を鮮明にしたばかり。

ホワイトハウスのシポローネ大統領法律顧問は下院民主党指導部への書簡で、同党の議員らが下院本会議で採決することなく弾劾調査入りを決めたことを批判。「基本的な公平感や憲法が保障する適正手続きに違反する形で弾劾調査を計画し、実施してきた」と指摘し、トランプ大統領に選択の余地を残さなかったと続けた。

「米国民や憲法、行政府、将来の大統領に対する職責を果たす上で、トランプ大統領とその政権は現在の状況下で、党派色丸出しで違憲な弾劾調査に協力はできない」と言明した。

国務省はこれより先、ソンドランド氏の議会証言を認めない考えを示していた。同氏は、トランプ大統領が来年の米大統領選で野党民主党の最有力候補と目されるジョー・バイデン副大統領と息子の調査をするようウクライナに圧力を掛けたとされる疑惑を巡り、下院の3委員会に対し非公開証言を行うことになっていた。

ソンドランド氏は証言に立つため、既に欧州から一時帰国していた。同氏の弁護士は「証言が許されれば、ソンドランド氏は急な要請であっても証言する用意が整っている」と述べた。

トランプ大統領はツイッターへの投稿でソンドランド氏が「共和党の権利が剥奪され、真実が公になることが許されない機能不全のつるし上げの場で証言するところだった」と述べて証言拒否の決定を擁護した。

下院委が先週公表した文書などによると、ソンドランド氏がウクライナに対しトランプ大統領が「デリバラブル(成果物)を望んでいる」と伝えるなど、大統領がウクライナに圧力を掛けたとされる疑惑に関与していたことが明らかになっている。

民主党議員らはソンドランド氏の証言阻止は弾劾調査への妨害行為だとし、今月16日に議会で証言するよう求める召喚状を出した。

ソンドランド氏の証言を土壇場で阻止した理由について国務省に説明を求めたが、応じていない。

シポローネ氏は書簡で、弾劾調査は「むき出しの政治的戦略」で、2016年大統領選の結果を覆し、20年大統領選に影響を与える狙いがあると強調。トランプ氏の適正手続きへの権利を侵害しているとも述べた。

「現在の手続きはあからさまに結論を急ぐもので、民主的に説明可能な権限が付与されず、基本的権利を侵害するなど、この調査の違法で党派色丸出しの目的を鮮明にしている」と主張した。

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