最新記事

教育

10代の出産がもたらす、離婚と貧困のスパイラル

2019年9月25日(水)16時10分
舞田敏彦(教育社会学者)

若年出産は貧困による高校非進学、中退と関連していると見られる Professor25/iStock.

<ネットの普及で性情報に触れることが簡単になった今こそ、学校で正しい性知識、考え方を教える必要がある>

女性の出産年齢が高くなる晩産化が進んでいるが、その一方で若くして出産する女性も少なくない。2017年の厚労省統計によると、全出生児94万6065人のうち10代の母親から生まれた子は9898人となっている(『人口動態統計』)。比率にすると1000人あたり10.5人だ。

若年出産は都市部で多く、そのなかでも地域差がある。東京都が毎年刊行している『人口動態年報』に、都内の区市町村別の数値が出ている。全出生児数と、うち10代の母親から生まれた子の数を拾えば、若年出産の割合を地域別に出せる。

過去5年間(2013~17年)の資料に当たって、都内23区別の数値を揃えてみた。若年出産の割合を区別に計算し、3段階で塗り分けた地図にすると<図1>のようになる。単位は‰(パーミル)、1000人あたりの数であることに注意されたい。

data190925-chart01.jpg

同じ東京23区でも、若年出産の率は区によってバラツキがある。最低は港区の0.9‰、最高は足立区の13.1‰だ。昨年の3月、足立区の公立中学校で性交や避妊の授業をしたことが注目されたが、こういう地域的な背景を踏まえての取り組みだろう。

足立、葛飾、江戸川の城東3区では、若年出産の割合が10‰を超えている。大田、豊島、北、板橋、練馬の値も相対的に高い。地図に落としてみると、若年出産には地域性があることが分かる。

10代の出産の率は、各区の所得水準とマイナスの相関関係にある。貧困による高校非進学、中途退学とも関連しているとみられる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエル、ソマリランドを初の独立国家として正式承

ワールド

ベネズエラ、大統領選の抗議活動後に拘束の99人釈放

ワールド

ゼレンスキー氏、和平案巡り国民投票実施の用意 ロシ

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏と28日会談 領土など和
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中