最新記事

アメリカ政治

米上院共和党、トランプの対メキシコ関税制裁を支持せず? 有力議員が警告

2019年6月5日(水)13時15分

6月4日、米上院共和党の有力議員らは、トランプ大統領が提案した対メキシコ制裁関税について、同党は支持しない可能性があると警告した。ニューヨーク証券取引所の前に掲げられた米国旗とメキシコ国旗。2015年9月撮影(2019年 ロイター/Lucas Jackson)

米上院共和党の有力議員らは4日、トランプ大統領が提案した対メキシコ制裁関税について、同党は支持しない可能性があると警告した。一方、大統領は議員らが阻止に動くのは「愚かな行動」と述べてけん制した。

共和党議員らは非公開でホワイトハウス法律顧問の側近と昼食会を開き、トランプ氏が来週に発動する構えの対メキシコ関税について懸念を伝えた。

ロン・ジョンソン上院議員はホワイトハウス側に、トランプ氏がメキシコ国境の壁建設費確保に向けて国家非常事態宣言を発令した際と同程度の支持を今回も共和党から得られると期待してはいけないと警告した。ジョンソン氏は記者団に「われわれはあまり関税を好ましいと思っていない」と述べた。

国家非常事態宣言を無効にする決議案は3月に議会を通過。ただ、共和党が多数派を占める上院で同党から造反した議員は12人にとどまった。大統領はこの決議案に拒否権を発動している。

上院共和党ナンバー2のスーン議員は記者団に、共和党議員にとって、対メキシコ関税は国家非常事態宣言よりも承認が難しいとの見方を示した。

トランプ氏はこの日、訪問先の英国で、対メキシコ関税導入計画を「議会共和党が阻止するとは思っていない。阻止すれば愚かなことだ」と述べた。

大統領は先月末、メキシコ国境からの不法移民流入に同国が十分に対応していないとし、6月10日以降メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を課し、移民の流入が止まるまで関税率を段階的に引き上げると表明した。

この問題を巡りメキシコの高官らはワシントン入りして協議を開始。ただ、トランプ氏は、予定通り来週からすべてのメキシコ製品に関税を課すことになるだろうと述べている。

共和党のマコネル上院院内総務は対メキシコ関税を無効化するための採決を行うかという質問には直接答えず、上院共和党内での支持は「さほどない。われわれは実施されないことを望んでいる」と述べた。

民主党上院トップのシューマー院内総務は、強い反対があればトランプ氏は関税の提案を「撤回」するだろうと予想。また、トランプ氏が発動の手続きを進めれば議会では関税を無効化する決議の採択に向けた動きがあると見通した。

[ワシントン/ロンドン 4日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾行政院長、高市氏に謝意 発言に「心動かされた」

ワールド

ロイターネクスト:シリア経済、難民帰還で世銀予測上

ワールド

アングル:日銀利上げ容認へ傾いた政権、背景に高市首

ビジネス

「中国のエヌビディア」が上海上場、初値は公開価格の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 9
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 10
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中