最新記事

アメリカ外交

国際司法裁、トランプ政権へ対イラン制裁めぐり人道物資輸出の確保命じる

2018年10月4日(木)11時00分

10月3日、国際司法裁判所(ICJ)は、トランプ米政権によるイランへの制裁再開について、2国間の修好条約に違反しているとするイランの主張を一部認め、人道物資の輸出や民間航空機の安全な運航が妨害されないよう米国に対応を命じる仮処分を出した。ハーグのICJで2018年8月撮影(2018年 ロイター/Piroschka van de Wouw)

国際司法裁判所(ICJ)は3日、トランプ米政権によるイランへの制裁再開について、2国間の修好条約に違反しているとするイランの主張を一部認め、人道物資の輸出や民間航空機の安全な運航が妨害されないよう米国に対応を命じる仮処分を出した。

イランは、米国が5月以来再発動した制裁は1955年に両国が締結した修好条約に反しているとして訴訟を提起。ICJは、同制裁が人道的状況に影響を及ぼすことはないとする米国側の約束は「十分ではない」との判断を下した。

アブドゥルカウィ・ユスフ判事は15人の判事による判断を読み上げ、米制裁は「原則として」食品と医薬品・医療機器を対象外としているが、イランやイラン国民と企業がそのような物資を購入するために国際的な金融取引をすることが「不可能とは言えないまでも困難」になっていると指摘。

その上で、5月8日の発表によって再開したイラン制裁によって医薬品、医療機器、食品、農産物などの人道物資および民間航空機の安全に必要な物品とサービスの対イラン輸出が妨害されないよう「自主的に選択した手段を講じる」よう米国に命じた。

ポンペオ米国務長官は、ICJは米制裁を管轄する権利はないとして今回の判断を受け入れない考えを表明。イランとの修好条約についても、破棄する意向を示し、「(イラン革命があった)39年前に下しておくべき決定だった」とした。イランはICJを政治利用しており、イランの主張には根拠がないと語った。

また、米国は既に、対イラン制裁が人道援助に影響を与えないように措置を講じているとした。米国は11月に、イラン産原油を対象とする追加制裁を発動する予定。

イラン外務省は声明で、ICJの判断はイランが正しく、米制裁が違法で残酷であることを証明したとコメント。「米国は国際合意を順守し、対イラン貿易への障害を取り除くべきだ」と強調した。

[ハーグ 3日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月7号(3月31日発売)は「日本企業に迫る サステナビリティ新基準」特集。国際基準の情報開示や多様な認証制度――本当の「持続可能性」が問われる時代へ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米地裁、FRB議長の召喚状差し止めの判断維持 検察

ワールド

イラン上空で米戦闘機撃墜、乗員1人を救助 対イラン

ビジネス

米3月雇用者数17.8万人増、過去15カ月で最多 

ワールド

米政権、「脱獄不能」アルカトラズ監獄再開へ予算 ア
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 8
    中国は「アカデミズムの支配」を狙っている? 学術誌…
  • 9
    60年前に根絶した「肉食バエ」が再びアメリカに迫る.…
  • 10
    満を持して行われたトランプの演説は「期待外れ」...…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中