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米国企業、トランプ政権に警鐘 対中関税値上げで自国の損害「劇的に拡大」

2018年8月20日(月)17時38分

8月20日、米通商代表部(USTR)が中国からの2000億ドル相当の輸入品を対象とする関税に関する公聴会を開始するのを前に、米企業は、関税導入によってベビー用品から棺おけに至るまで、幅広い製品の値上げを余儀なくされると警告した。写真はカリフォルニア州ロングビーチの港で4月撮影(2018年 ロイター/Bob Riha Jr)

米通商代表部(USTR)が中国からの2000億ドル相当の輸入品を対象とする関税に関する公聴会を20日に開始するのを前に、米企業は、関税導入によってベビー用品から棺おけに至るまで、幅広い製品の値上げを余儀なくされると警告した。

USTRによると、公聴会は20─24日と27日の6日間の日程で開かれる。

新たな対象品目は中国産の海産物や中国製の家具、照明機器、タイヤ、化学製品、自転車、車のベビーシートなどがあり、これまでの対中関税よりも消費者向け製品が多く含まれている。トランプ政権は最大25%の税率の適用を提案している。

全米商工会議所は公聴会に向けた書面による証言で、新たな関税で「米国の消費者や労働者、企業、そして米経済が受ける損害が劇的に拡大する」と強調した。

その上で、トランプ政権は中国による知的財産権侵害やその他の有害な貿易慣行に対抗するための「首尾一貫した」戦略に欠けていると批判し、中国と「真剣な協議」を行うよう呼び掛けた。

米中の通商協議は週内にワシントンで再開する見通しとなったが、米国の対中関税や中国による対米報復関税に何らかの影響が及ぶかは未知数。

公聴会を前に米企業などからは1400件以上の書面によるコメントがUSTRに寄せられており、大半の企業は関税導入による悪影響やコスト増を指摘。対中関税を称賛、あるいは対象品目の拡大を求める企業は少数にとどまった。

米文房具・日用品ニューウェル・ブランズ傘下のベビー用品メーカー、グレコ・チルドレンズ・プロダクツは、対中関税による商品の値上げを受けて、中古品のベビーシートや遊具を購入する親が増えることになると指摘。また、安全ではないベビーベッドを使ったり、親と同じベッドに子どもを寝かせることになるかもしれないとした上で、同関税は「子どもの安全問題を引き起こすだけで、中国に政策の変更を促すことにはならない」との見解を示した。

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