最新記事

ロシア

ロシア、米ミサイル防衛を導入する日韓に対し「中国と報復する」

Russia, China to Act Against U.S. Defenses in Asia

2018年7月24日(火)19時11分
ジェイソン・レモン

北朝鮮の脅威がなくなれば、プーチンと習近平は日本と韓国への締め付けを厳しくしてくる?( 2018年6月8日、北京) Jason Lee-REUTERS

<首脳会談ではアメリカと安全保障・軍事面での協力で一致したロシアだがアメリカの同盟国には強硬姿勢。トランプは意に介していないように見える>

アンドレイ・デニソフ駐中国ロシア大使は7月23日、日本と韓国がアメリカのミサイル防衛システム導入を決めたことについて、ロシアと中国は報復措置を計画していると警告した。

デニソフは記者団に対して、日本と韓国の行動は、ロシアと中国に安全保障上の脅威をもたらすと主張。ロシアと中国としては対応せざるを得ないと示唆した。

ロシアの国営タス通信の報道によれば、デニソフは「中国とロシアの安全保障にとって脅威と見なされる設備を導入する国々は、自分たちの安全保障を危険にさらすことになる。我々としては、なんらかの報復措置を取らざるを得ないからだ」と発言。さらに「これは疑う余地のない、明白なことだ」とも語った。

韓国は2016年7月に、アメリカのミサイル防衛システムTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)の配備を決定したと発表。当時、韓国は北朝鮮からの核攻撃の脅威に絶えずさらされていた。

近隣諸国はロシアの拡張政策を懸念

だがここ数カ月で韓国と北朝鮮の関係は大幅に改善、恒久的な和平合意の可能性までささやかれている。ただしその一方で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、国際社会に経済制裁を緩和してもらって核開発を続けるために友好的なふりをしているだけだ、と疑う声もあるのだが。

日本は2017年12月、アメリカの助けを得て自国のミサイル防衛態勢を強化することで同意。「イージス・アショア」2基(1基あたり約9億ドル)を購入し、それぞれ秋田県と山口県に配備する予定だ。

日本と韓国に警告を発するのに先立ち、ロシアは近隣のヨーロッパ諸国がアメリカのミサイル防衛システムを導入したことについても、同様の警告を行った。

ロシアは2014年にウクライナで、同国からの独立を願う反政府・親ロ派勢力を支持し、クリミア半島を力で併合。NATOに加盟するヨーロッパ諸国は、この露骨な拡張政策を目の当たりにして震え上がった。とりわけロシアの近隣に位置するポーランド、ノルウェー、ラトビア、スウェーデン、エストニアとリトアニアは、ロシアがいつ自分国に侵攻するかわからないと懸念を強めてきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国最高裁、李在明氏の無罪判決破棄 大統領選出馬資

ワールド

イスラエルがシリア攻撃、少数派保護理由に 首都近郊

ワールド

学生が米テキサス大学と州知事を提訴、ガザ抗議デモ巡

ワールド

豪住宅価格、4月は過去最高 関税リスクで販売は減少
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    フラワームーン、みずがめ座η流星群、数々の惑星...2…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中