最新記事

中東

米国のエルサレム首都認定、中東・ヨーロッパ各国が一斉に非難

2017年12月7日(木)10時05分

12月6日、中東諸国は、トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことについて、扇動的な行為などとして相次ぎ非難した。トランプ米大統領の演説を見るヨルダンのパレスチナ人難民の一家(2017年 ロイター/Muhammad Hamed)

中東諸国は6日、トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことについて、扇動的な行為などとして相次ぎ非難した。また、英仏を含む欧州の同盟国も反対を表明した。

欧州連合(EU)と国連からは、トランプ氏によるエルサレムへの大使館移転の決定を巡り、イスラエルとパレスチナの和平交渉に悪影響が及ぶとして懸念の声が上がった。

フランスのマクロン大統領はトランプ氏の「一方的な」決定を支持しないと表明するとともに中東地域に対し冷静な対応を呼び掛けた。英首相報道官によると、メイ首相はトランプ氏による首都認定は和平プロセスを阻害するものだと批判した。

ドイツは、エルサレムの取り扱いは2国家共存を基に解決されるべきとの見方を示した。

一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、事前に録画されたメッセージ映像で、米国の決定は「平和への重要な一歩」と称賛。「イスラエル建国の日から(エルサレム首都認定を)目標にしてきた」と述べた。

パレスチナ自治政府のアッバス議長は演説で、エルサレムはパレスチナの「永遠の首都」で、トランプ氏は「和平プロセスの仲介役を放棄したも同然」と批判した。

パレスチナのガザ地区を実効支配してきたイスラム原理主義組織ハマスは、トランプ大統領は「パレスチナ人に対し、非道な侵略行為」を犯したと非難。アラブ人やイスラム教徒らに対し「中東地域での米国の利益を害し」「イスラエルを遠ざける」よう呼び掛けた。

イスラエルと平和条約を交わしているエジプトとヨルダンもトランプ氏の決定を受け入れないと発表。レバノンとカタールは地域の安定を脅かす「危険な」決定だと批判し、トルコは「無責任」との見方を示した。

イランはイスラエルとパレスチナの対立に関する国連決議に違反しているとして強く非難した。

国連のグテレス事務総長は、2国家共存に代わる解決策はなく、エルサレムの最終的な取り扱いは直接対話によってのみ決められるべきと強調した。

[ロンドン 6日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、0.25%の利下げ決定 昨年12月以来6会

ビジネス

FRB独立性侵害なら「深刻な影響」、独連銀総裁が警

ワールド

核問題巡り平行線、イランと欧州3カ国が外相協議

ビジネス

ユーチューブ、メディア収益でディズニー超えへ AI
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中