最新記事

インド

「テロの母艦」とパキスタン非難 インドのモディ首相BRICS会議で

2016年10月17日(月)19時02分

10月16日、インドのモディ首相は、インド西部のゴアで開かれた第8回BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議で、パキスタンを「テロの母艦」と呼び、カシミール地域の領有権を争うパキスタンの孤立化へ向けた外交活動を加速させた。写真は同首相。ラオスの首都ビエンチャンで9月撮影(2016年 ロイター/Soe Zeya Tun)

 インドのモディ首相は16日、インド西部のゴアで開かれた第8回BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議で、パキスタンを「テロの母艦」と呼び、カシミール地域の領有権を争うパキスタンの孤立化へ向けた外交活動を加速させた。

 BRICSの主要国である中国は、パキスタンの同盟国。モディ首相のこの発言により、BRICS間の結束が試された結果となった。

 9月18日にカシミール地方のインド陸軍基地が襲撃を受け、過去最悪となる兵士19人が死亡する事件が発生して以来、両国間は緊張。インドは、過激派を支援しているとしてパキスタンを非難している。

 モディ首相はBRICS首脳らに向けたメッセージで、「私たちの地域で、テロが平和や治安、発展への大きな脅威となっている」と発言。「不幸にも、テロの母艦は隣国にある」と述べたが、パキスタンを直接名指しすることはなかった。

 パキスタンは、会議を間違った方向に導き、カシミール地方での自らの残虐的行為を隠そうとしているとモディ首相を非難。カシミールのインド支配地域では、7月に独立派の抗議活動が勃発して以来、数十人が死亡している。

 パキスタンのアジズ首相顧問(外交・安全保障担当)は「カシミールのインド支配地域で、基本的な権利を求める人たちがインドによる虐殺の対象となっている」と述べた。

 モディ首相のコメントは、首脳会談の宣言文には反映されていないが、「演説で述べることで、確実に広まる」ことを同首相は認識していたと、南アジアの専門家は指摘した。

[ゴア(インド) 16日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドイツ銀、第3四半期は黒字回復 訴訟引当金戻し入れ

ビジネス

JDI、中国安徽省の工場立ち上げで最終契約に至らず

ビジネス

ボルボ・カーズの第3四半期、利益予想上回る 通年見

ビジネス

午後3時のドルは152円前半、「トランプトレード」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはどれ?
  • 3
    リアリストが日本被団協のノーベル平和賞受賞に思うこと
  • 4
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 5
    トルコの古代遺跡に「ペルセウス座流星群」が降り注ぐ
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 8
    中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない
  • 9
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 10
    「ハリスがバイデンにクーデター」「ライオンのトレ…
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 3
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 4
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 5
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 6
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 7
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 8
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 9
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 10
    北朝鮮を訪問したプーチン、金正恩の隣で「ものすご…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 9
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 10
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中