最新記事
SDGsパートナー

長く大切に使うことが、最良の環境対策...サステナブランド「ecuvo,」の信念

2024年11月6日(水)17時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
「ecuvo,」秋冬コレクション

「ecuvo,」秋冬コレクション

<地球温暖化で冬が暖かくなれば、手袋は売れない──手袋や靴下の企画・製造・販売を手がける株式会社フクシンは、こうした危機意識から環境対策に着手。本社や工場、倉庫の消費電力を再生可能エネルギーでまかない、独自のサステナブルブランド「ecuvo,(エクボ)」を立ち上げた>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

社内外の環境意識向上を目指して

2015年、地球温暖化の抑制を目指す国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開かれ、2つの長期目標が定められた。「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること」と、「21世紀後半にはカーボンニュートラルを実現すること」だ。

それを受けて日本政府は、温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにすると宣言し、CO2の排出量が多い製造業を中心に、削減・吸収を強化する施策が進められている。そうした状況の中、再生可能エネルギーやサステナブル素材を積極的に活用し、「地球にやさしいものづくり」を体現する企業が株式会社フクシンだ。

手袋のまちとして知られる香川県東かがわ市で、手袋や靴下の企画・製造・販売を手がけてきたフクシンが、SDGsに注力し始めたのは2016年のこと。企業理念に「たくさんの笑顔を紡ぐ」を掲げ、年齢・学歴・国籍などを問わない雇用、地域ビーチクリーン団体への協力、取引先が運営するフードバンクや福祉作業所の支援といった13の活動を開始した。

その後、社内にSDGsの意識が浸透し、製造業者として温暖化の抑制に取り組む気運が高まった。その流れがサステナブルブランド「ecuvo,(エクボ)」の創設へとつながっていった。代表取締役の福﨑二郎氏は、ブランド立ち上げの背景をこう語る。

「地球温暖化で冬が暖かくなれば、いくら機能がよくても手袋は売れません。それがわかっていながら、何もしないのはおかしいですよね。会社として温暖化防止のためにできることはあるはずだし、自社製品を通じて社内外の環境意識を高めることもできるはず。そう考えて、2020年にサステナブルをテーマにしたブランドをスタートさせました」

しかし、計画を進めるには、事前にクリアすべき課題があった。社内会議で「サステナブル商品なのに、作れば作るほどCO2を放出するのは本末転倒」という声が上がり、製造現場のあり方から見直すことになったのだ。

プロジェクトのメンバーは日々議論を重ね、2020年12月から本社と製造工場、倉庫を100%再生可能エネルギーで稼働する体制に移行。さらに2021年には本社屋上に太陽光発電システムを導入し、現在は消費電力の25%を自社の太陽光発電で賄っている。

newsweekjp20241105115446-82f3b1b46d629115c127e4316c016167ee17d803.jpg

本社屋上の太陽光発電システム

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中