最新記事

投資の基礎知識

2019年の相場は「亥固まる=小幅な値動きにとどまる」のか

2019年1月8日(火)19時25分
網代奈都子 ※株の窓口より転載

kwasny221-iStock.

<日本には干支で相場の行方を占う格言がある。「こんなもの法則とは言えない」と一蹴していいものか。過去の亥年における日経平均株価の推移を振り返ってみると......>

平成が終わり、新たな時代が始まる今年2019年の株式相場はどうなるのか――。いろいろな人からさまざまな予測が出ていますが、「なにひとつ確実なことはない」というのが株の世界の唯一の真実です。

干支で相場の行方を占う?

日本にはこんな相場格言があります。


辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)は笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)はつまずき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる

日本だけでなく世界の株式相場には、こうした「アノマリー(Anomaly)」がたくさんあり、法則と呼ぶには少々あやふや......ではあるものの時にはその通りになることもあり、何となく気にしている人も多いでしょう。

この干支アノマリーによれば「亥固まる」、つまり亥年の2019年は「小幅な値動きにとどまる」ということですが、実際のところ、過去の亥年の相場はどうだったのか。過去5回の亥年における日経平均株価の推移を振り返ってみましょう。

[こんな検証もやってます]
戌年は投資家が笑う? いろいろあった過去の戌年をプレイバック
株は「5月に売れ」って本当? 過去12年のセルインメイを検証してみた

2007年(平成19年)――リーマンショックの「火種」

kabumado190108-chart2.png

・年始の始値=17,322.50円
・年末の終値=15,307.78円 −2,014.72円(−11.63%)

年の始値と終値だけでも約9%下落しており、あまり「小幅な値動き」でもないですね。

チャートを見ると、日経平均は8月から大幅に下げていることがわかります。この要因は、フランスの大手銀行・BNPパリバが、サブプライムローンが組まれた傘下のファンドの解約を凍結したことで世界中の投資家がパニックになった、いわゆる「パリバ・ショック」によるものです。

世界経済を震撼させた「リーマン・ショック(リーマン・ブラザーズの破綻)」は翌2008年ですが、前年の時点で「サブプライムローンはヤバい!」という空気が漂っていたのに、それでも市場は止まることができなかったことがわかります。

【2007年の新語・流行語大賞】
・(宮崎を)どげんかせんといかん
・ハニカミ王子

1995年(平成7年)――阪神大震災・地下鉄サリン事件

kabumado190108-chart3.png

・年始の始値=19,724.76円
・年末の終値=19,868.15円 +143.39円(+0.73%)

年の始値と終値で比較すれば、まさに「小幅な値動き」となった年。しかし、その間には阪神・淡路大震災(1月17日)、そして地下鉄サリン事件(3月20日)があった国難の一年でした。

前年にはバブル崩壊の混乱が収束し、のちに「失われた20年」と言われる時代がスタート(他の区切り方をする場合もあります)。国内経済が振るわず貿易黒字が増したのはいいものの、アメリカがドル安(円高)政策を進めたことで一時は1ドル80円を切る超円高になりました。

【1995年の新語・流行語大賞】
・無党派
・NOMO
・がんばろうKOBE

なお「無党派」とは、東京・大阪の知事選で圧倒的基盤を持つ政党推薦候補を、無所属の青島幸男氏と横山ノック氏が破ったことによる一語。国難の一年で、新たな風を求めていたのかもしれません。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

GDPギャップ、25年4―6月期は需要超2兆円=内

ビジネス

午後3時のドルはドル147円付近、売り材料重なる 

ワールド

ロシア、200以上の施設でウクライナの子どもを再教

ワールド

アングル:米保守活動家の銃撃事件、トランプ氏が情報
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中