最新記事

チャイナマネー

中国株に資金回帰の兆しも「官製相場」に投資家は慎重な姿勢

2015年10月20日(火)11時41分

 大口投資家以外もその傷は深い。

 広東省在住の学生、Zhou Junan氏(22)は「いまはマーケットに戻るつもりはない」と話す。Junan氏は1万5000元(2400ドル)の投資資金の3分の2を失った後、前月に市場から手を引いた。「弱い経済指標が多く、株価が上がるような良い経済ニュースが聞こえてこない」と言う。

 確かに、慎重にならざるを得ないだけの理由はいくつかある。

 小型株は引き続き割高だ。新興企業向け市場創業板(チャイネクスト)<.CHINEXTC>の株価純資産倍率(PBR)は76倍と、上海総合指数の14倍、S&P総合500種<.INX>の18.9倍をはるかに上回る。

 国泰基金管理のファンドマネジャーは話す。「銀行株は割安だが、それでも人々はあえて買おうとはしない。経済がハードランディングを強いられる場合、不良債権により利益が吹き飛ぶからだ」

相場下落に備えたヘッジはさらに難しい。政府の「悪意のある空売り」に対する締め付けにより、指数先物取引は大きく落ち込んだ。

 売買が徐々に回復しているのは、二番底へ向かう前の短期的な反発なのか。それとも、26日から始まる中国共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会)で策定される次期5カ年計画で、一段の景気刺激策が発表されるのではないかという過度な期待によるものなのか。リスクはそこにある。

 だが、南海基金管理のダイ氏は動じていない。

「底値というのは、われわれのような投資家が、トレンド投資家の動きを圧倒した際に形成される。ただ、チャート上の上昇トレンドが明確な場合は、モメンタム投資家は市場に帰ってくるだろう」

(Samuel Shen記者、Pete Sweeney記者 翻訳:田頭淳子 編集:加藤京子)

[上海 19日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金正恩氏が列車で北京へ出発、3日に式典出席 韓国メ

ワールド

欧州委員長搭乗機でGPS使えず、ロシアの電波妨害か

ワールド

ガザ市で一段と戦車進める、イスラエル軍 空爆や砲撃

ワールド

ウクライナ元国会議長殺害、ロシアが関与と警察長官 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあるがなくさないでほしい
  • 3
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世界的ヒット その背景にあるものは?
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 6
    BAT新型加熱式たばこ「glo Hilo」シリーズ全国展開へ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 3
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 8
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中