ニュース速報
ワールド

豪中銀、予想通り金利据え置き 根強いインフレ圧力見込む

2024年11月05日(火)14時23分

 オーストラリア準備銀行(中央銀行)は5日、金融政策に関する四半期報告を公表し、コアインフレ率の鈍化ペースが緩やかにとどまるとの見通しを示した。シドニーで7月撮影(2024年 ロイター/Jaimi Joy)

Stella Qiu Wayne Cole

[シドニー 5日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は5日、予想通り政策金利を12年ぶりの高水準となる4.35%に据え置いた。コアインフレが想定通りに鈍化していることが確認されるまで、制約的な政策を継続する必要があると強調した。

政策については、いかなる可能性を排除も想定もしていないと繰り返した。

市場の反応は鈍く、豪ドルはほぼ変わらずの0.6590米ドル。金利スワップは年内の利下げをわずかにしか見込んでおらず、最初の利下げは来年5月まで完全に織り込まれていない。

声明文は「総合インフレは大幅に低下し、しばらく低下したままとなる一方、基調インフレはインフレのモメンタムを一段と示しており、依然として高過ぎる」と指摘。「このことはインフレの上振れリスクに対して引き続き警戒する必要性を強めるものであり、理事会は何ら想定も排除もしていない」とした。

また、オーストラリアの金融環境について、依然として大部分のその他先進国ほど引き締まっていないと強調した。

オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアのマクロ経済予測担当責任者、ショーン・ラングケーキ氏は「豪中銀は生産が経済の潜在力に戻るのを待つという忍耐ゲームをしている。これは最近の非常に弱い成長が続く可能性が高いことを意味する」と述べた。

その上で「最初の利下げは2025年第2・四半期に行われるとなお見込んでいるが、リスクバランスはこれが早期に行われるよりも、むしろ後ずれする方向にシフトしている」とした。

<基調モメンタム>

豪中銀は金融政策に関する四半期報告も公表し、コアインフレ率の鈍化ペースが緩やかにとどまるとの見通しを示した。雇用の伸び予測は引き上げ、国内総生産(GDP)成長率見通しは引き下げた。

コアインフレ率の指標として注目する消費者物価指数(CPI)トリム平均値の上昇率は第3・四半期の3.5%から2024年末に3.4%に若干低下すると予想。2─3%の目標レンジを依然上回ることになる。

その後、25年末に2.8%、26年末に2.5%に鈍化すると見通した。

CPI総合指数の上昇率は現在の2.8%から24年末に2.6%に低下すると予想。政府による電気料金の補助が要因。25年半ばに補助が終了すると、CPI上昇率が3.7%に跳ね上がり、その後再び和らぐ見通しとした。

「インフレ圧力は経済の需給がバランスを取り戻すのに伴い和らぐ見通しだが、ディスインフレのペースは緩やかになる見込み」とした。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

黒海でロシアのタンカーに無人機攻撃、ウクライナは関

ビジネス

ブラックロック、AI投資で米長期国債に弱気 日本国

ビジネス

OECD、今年の主要国成長見通し上方修正 AI投資

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、11月は前年比+2.2%加速 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 3
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドローン「グレイシャーク」とは
  • 4
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 5
    もう無茶苦茶...トランプ政権下で行われた「シャーロ…
  • 6
    【香港高層ビル火災】脱出は至難の技、避難経路を階…
  • 7
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 8
    22歳女教師、13歳の生徒に「わいせつコンテンツ」送…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中