ニュース速報
ワールド

ロシアはNATOへの限定核攻撃可能性明示すべき、タカ派研究者が提言

2024年09月13日(金)14時02分

 9月12日、ロシアのタカ派的な外交防衛問題研究者、セルゲイ・カラガノフ氏は、地元紙コメルサントのインタビューで「ウクライナにおける北大西洋条約機構(NATO)の侵略を支援する」いかなる国に対しても核兵器を使用することを、ロシアは明確に意思表示するべきだと述べた。モスクワで2020年撮影(2024年 ロイター/Host photo agency/Iliya Pitalev via REUTERS)

Mark Trevelyan

[ロンドン 12日 ロイター] - ロシアのタカ派的な外交防衛問題研究者、セルゲイ・カラガノフ氏は、地元紙コメルサントのインタビューで「ウクライナにおける北大西洋条約機構(NATO)の侵略を支援する」いかなる国に対しても核兵器を使用することを、ロシアは明確に意思表示するべきだと述べた。

カラガノフ氏は、ロシアが全面核戦争を引き起こさずにNATO加盟国に限定的な核攻撃を加えることは可能だと主張。米国が同盟国に「核の傘」を提供しているというのは虚構だと付け加えた。

ロシアの核ドクトリンについてカラガノフ氏は「現在および将来の敵全てにロシアが核兵器を使う用意があると確信させること」が主な目標だと説明した。その上で、ウクライナがロシア西部クルスク州に越境攻撃を開始して数週間が経過している状況を踏まえて「ロシア領への大規模攻撃に核で反撃する権利があると宣言する時期だ」と言い切った。

カラガノフ氏の意見はロシアの公式な政策ではないが、政府は同氏が重要なフォーラムで何度も発言したり、プーチン大統領に提言したりするのを許している。

このため西側の安全保障専門家が、ロシアの外交安保政策や核戦略を検討する際のカラガノフ氏の発言に対する注目度は高い。

ロシアの現在の核ドクトリンは、ある国からの核攻撃ないしロシア国家の存続を脅かすほどの通常兵器による攻撃に対して核兵器を使う準備があるとしている。

ただカラガノフ氏は1年以上前からドクトリンの修正を求め、政府も修正を明言した。

同氏は今のドクトリンがロシアの敵対勢力を十分に抑止できず、ロシアの核兵器を使用する機会は乏しいとの認識を生み出していると指摘し、こうした想定を変化させて抑止力を再構築しなければ、ロシアは破滅すると警告した。

今回のインタビューで全面核戦争を確実に防止する方法を聞かれたカラガノフ氏は「限定的な核兵器使用が必ずアルマゲドン(最終戦争)に至るという主張は批判に耐えられない。全ての核兵器大国は特定のシナリオの下で段階的に使用する計画を持ち合わせているのは間違いない」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、米株高を好感 ファストリ

ワールド

訂正ブラジル大統領、米50%関税に報復示唆 緊張緩

ワールド

英首相がトランプ氏と会談へ、月内のスコットランド訪

ワールド

米国務省、人員削減計画を近く開始 影響受ける職員に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中