ニュース速報
ワールド

情報BOX:医薬品にも猛暑の影響、知っておくべき保管と服用法

2024年08月11日(日)07時55分

7月25日、世界の平均気温は7月22日に過去最高を記録した。気候変動による異常な熱波は医薬品そのもの、そして効果を変化させることがある。写真は様々な錠剤。2012年2月撮影(2024ねn ロイター/Srdjan Zivulovic)

Nancy Lapid

[25日 ロイター] - 世界の平均気温は7月22日に過去最高を記録した。気候変動による異常な熱波は医薬品そのもの、そして効果を変化させることがある。猛暑が続く中で薬をどう保管し、服用する上で気を付けるべきポイントをまとめた。

◎暑さは薬の効果や質をどのように変化させるか

一般的な疾患の治療薬は発汗能力や血流速度など、高温に対する身体の反応を損なう結果、患者が通常以上に暑さの影響を受けやすくなる可能性がある。

また、カプセル、スプレー、錠剤、シロップなど、医薬品は形態にかかわらず、ほぼ全て一定の温度範囲で保管しなければ劣化のリスクが増大する。

暑さによる投薬への影響は、個人の健康状態、投与量、環境条件によって異なる可能性がある。患者は暑さに応じて服用の量やタイミングを調整すべきかどうか、医師に相談する必要がある。

◎暑さの影響を受けやすくなる医薬品は

(1)血圧と心不全の治療薬:アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬には、のどの渇きを抑える作用があるため、水を飲むべきタイミングが分かりにくくなり、脱水のリスクが高まる。カルシウム拮抗薬はミネラルのバランスを崩して体温調節を難しくし、ベータ遮断薬は発汗を抑えて体を冷やしにくくする。利尿剤も脱水やミネラルバランスの乱れを引き起こすことがある。

(2)アレルギー薬:市販の抗ヒスタミン薬の中には発汗を抑え、体温調節を阻害するものがある。

(3)精神科の薬:ある種の抗精神病薬は患者の発汗能力を抑える。逆に抗うつ薬の中には、発汗を増加させ、喉の渇きを抑えるものもある。アンフェタミンなどの精神刺激薬や注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療に用いられる薬剤は、中枢神経系と相互作用して体温を上昇させることがある。

(4)甲状腺の薬:甲状腺ホルモン剤も体温を上昇させ、体温調節を阻害し、過度の発汗を引き起こすことがある。

◎薬を保管する際の安全な温度は

極端な暑さ(および極端な寒さ)は、処方薬や市販薬の効果を著しく変化させる。

一部の医薬品は摂氏30度まで耐えられるが、一般的には日光を避け、湿気の少ない15―25度の場所で保管する必要がある。特定の医薬品の保管温度ガイドラインは、メーカーのウェブサイトで確認できる。

ニューメキシコ大学の薬学教員、エイミー・バチリッチ氏によると、薬はそれぞれ異なるため、極端な温度で保管した場合にどの程度劣化するかを予測するのは難しい。

インターネットで販売する医薬品について、温度が上昇した車内や郵便受けなどに何時間も薬を放置すべきではない。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランはパートナー国、「全分野で対話」=ロシア大統

ビジネス

中国乗用車販売、8月は5カ月連続減少 新エネ車は好

ビジネス

EU経済再生、大規模な投資と改革必要=ドラギ氏報告

ワールド

台湾輸出、8月は予想上回る伸びで過去最高 米国向け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本政治が変わる日
特集:日本政治が変わる日
2024年9月10日号(9/ 3発売)

派閥が「溶解」し、候補者乱立の自民党総裁選。日本政治は大きな転換点を迎えている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元で7ゴール見られてお得」日本に大敗した中国ファンの本音は...
  • 3
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が増加する」農水省とJAの利益優先で国民は置き去りに
  • 4
    ロシア国内の「黒海艦隊」基地を、ウクライナ「水上…
  • 5
    メーガン妃が自身の国際的影響力について語る...「単…
  • 6
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…
  • 7
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 8
    メーガン妃の投資先が「貧困ポルノ」と批判される...…
  • 9
    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…
  • 10
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
  • 5
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 6
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 7
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 8
    エルサレムで発見された2700年前の「守護精霊印章」.…
  • 9
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が…
  • 10
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?.…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新研究】
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 10
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中