ニュース速報

ワールド

ドイツ、ガス不足で「警報」発令 配給制度導入の可能性排除せず

2022年06月24日(金)09時08分

[ベルリン 23日 ロイター] - ドイツ経済省は23日、ロシアからの供給減と価格高騰を受け、天然ガスに関する3段階の緊急計画で第2段階の「警報」を発令した。ただ、高騰するガス価格を消費者に転嫁する条項はまだ発動していない。

ガス供給不足が長期化するリスクが高いと判断した。第1段階の発表は3月末だった。

ハベック経済相は「ガス供給の縮小はプーチン(ロシア大統領)による経済攻撃」としてロシアを批判。ガス配給制度の導入回避を望むが、可能性は排除できないと述べた。

「ドイツでは今後、ガスは希少資源となる。既に夏が始まっているため、われわれはガス消費を減らす義務がある」と強調した。

ロシア国営ガスプロムは先週、バルト海経由でドイツに天然ガスを送るノルドストリーム1の供給量を容量のわずか4割まで減らしており、ドイツが緊急計画の第2段階に移行することは見込まれていた。

ロシアは西側諸国の制裁が原因で修理済み設備の受け取りに遅れが生じているために供給を減らしているとし、意図的ではないと主張。ロシア大統領府は23日、同国は欧州での「義務を厳密に履行している」と表明した。

第2段階では、ガスの貯蔵に政府が150億ユーロ(158億ドル)の信用枠を提供する。また、工業部門にガスの節約を促すため、今夏からガスの入札モデルが開始される予定。

ハベック氏は、高騰するガス価格を企業や家計に転嫁する条項を発動する段階にはまだないが、供給逼迫と価格の高止まりが長引き、電力会社の赤字が深刻になれば発動する可能性があると述べた。

ドイツ公社協会(VKU)は政府に対し、補助金で消費者を保護しなければ、低所得の個人が公共料金を支払えなくなり、電力・ガス会社が破綻する可能性があると訴えた。

連邦ネットワーク庁のトップ、クラウス・ミュラー氏はガスの販売価格が3倍に跳ね上がる可能性があると述べた。

この日公表されたデータによると、ドイツの天然ガス輸入は1─4月に総量が前年比で22%減少した一方、輸入額は170%急騰した。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米テスラ、カリフォルニア州で販売停止命令 執行は9

ワールド

カナダ、北極圏2カ所に領事館開設へ プレゼンス強化

ワールド

香港トップが習主席と会談、民主派メディア創業者の判

ワールド

今年のシンガポール成長予想、4.1%に上方修正=中
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中