ニュース速報

ワールド

米、ロシアの「最恵国待遇」撤回でG7・EUと協調へ=関係筋

2022年03月11日(金)15時34分

 3月11日、米国は、主要7カ国(G7)および欧州連合(EU)と協調し、世界貿易機関(WTO)ルールに基づくロシアの「最恵国待遇」の撤回に向けた行動を取る見通し。写真はワシントンで撮影(2022年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 10日 ロイター] - 米国は11日、主要7カ国(G7)および欧州連合(EU)と協調し、世界貿易機関(WTO)ルールに基づくロシアの「最恵国待遇」の撤回に向けた行動を取る見通し。事情に詳しい複数の関係筋がロイターに明らかにした。

関係筋の1人は、バイデン米大統領が米東部時間11日午前10時15分(日本時間12日午前0時15分)に撤回方針を発表すると述べた。

ホワイトハウスは、バイデン氏が「根拠も正当性もないウクライナへの攻撃についてロシアに引き続き責任を取らせるための措置」を発表すると説明したが、詳細には踏み込まなかった。

最恵国待遇を撤回すれば、米国や同盟国はウクライナに侵攻したロシアからの幅広い輸入品に高関税を課すことが可能になる。「深刻な景気後退」に陥るとされているロシア経済に一層の打撃を与えるのは必至だ。

関係筋のうち2人によると、ロシアの貿易上の待遇を変更するには、それぞれの国が自国の規定に従って手続きを行う必要がある。

米国の場合、最恵国待遇を意味する「恒久的正常貿易関係(PNTR)」の地位を取り消すには議会の行動が必要。米政権高官によると、上下両院の議員は与野党ともに、そうした措置に支持を示しているという。

ある高官は、超党派の議会指導部がPNTRの取り消しを呼び掛けていることをバイデン政権は高く評価していると述べ、関連法案の策定でバイデン政権は議員らに協力する考えだとした。

米通商代表部(USTR)によると、ロシアとの2019年のモノの総貿易額は約280億ドルで、貿易相手国の中で26番目の大きさだった。

ロシアからの輸入の上位は鉱物性燃料、貴金属、宝石、鉄鋼、肥料などが占めた。議会がロシアの「最恵国待遇」を取り消す手続きを取れば、これらの製品の関税は引き上げられる可能性がある。

バイデン大統領は8日、ロシア産原油や天然ガス、石炭の輸入を禁止すると発表した。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ和平サミット、50カ国以上が参加表明=開

ビジネス

MSCI新興国指数でインド株ウエートが最高更新、資

ビジネス

海外勢の米国債保有、3月は過去最高更新 日本の保有

ビジネス

TikTok米事業買収を検討、ドジャース元オーナー
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 5

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 9

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 10

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中