ニュース速報

ワールド

国連創設75周年、事務総長「課題多く解決策足りない」

2020年09月22日(火)14時09分

 国連総会は9月21日、国連創設75年を記念する高官級会合をオンラインで開いた。写真は国連本部。21日撮影(2020年 ロイター/Mike Segar)

[国連 21日 ロイター] - 国連総会は21日、国連創設75年を記念する高官級会合をオンラインで開いた。グテレス事務総長は、新型コロナウイルスの世界的大流行によって世界の脆弱性が露呈したと指摘し、「多国間の課題は過剰に存在するが、多国間の解決策は不足している」と強調した。

会合はコロナ感染拡大と米中間の緊張感の高まりを受け、193カ国が加盟する国連の存在意義と結束が問われる中で開催された。

中国の習近平国家主席は声明で「世界の情勢を独占し、他国の運命を決め、発展の成果を独り占めする権利はどの国にもない。ましてや、一国が好きなように振る舞い、世界の覇権者かいじめっ子またはボスになるのを認めてはならない。一国主義は行き詰まる」と主張。名指しはしなかったが米国を批判した。

この発言は国連総会向けに録画した演説には入っておらず、中国の国連代表部によると、国連に提出された声明に盛り込まれた。

シャレ米国連次席大使代理は、国連は多くの点で「試みとして成功した」ことが証明されたが、「懸念すべき理由もある」と指摘。

「国連はこれまで、意義ある改革にあまりにも長い間抵抗し、あまりにも頻繁に透明性に欠き、独裁政権の意向にあまりにも影響を受けやすかった」と批判した。

ロシアのラブロフ外相は、一部の国が他国の内政に干渉し、一方的な制裁を発動していることが国際社会の「確執の強まり」を引き起こしたと述べ、暗に米政府を批判。「世界は一段の多国間支援および協力を必要としている」と訴えた。

ドイツのメルケル首相は加盟国それぞれの国益によって「あまりにも頻繁に」国連の理想は未達となることを余儀なくされたと語った。

22日からは首脳級が演説する国連総会の一般討論演説が始まる。ニューヨークの国連本部で参加を予定する首脳はおらず、事前録画した演説が放送される見通し。

首脳らは21日に採択した宣言で、国連創設から現在までに「失望した時が(何度も)あった」と認め、「これら全てがさらなる行動の必要性を示しており、出し惜しみすべきではない」とした。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港の高層複合住宅で大規模火災、13人死亡 逃げ遅

ビジネス

中国万科の社債急落、政府が債務再編検討を指示と報道

ワールド

ウクライナ和平近いとの判断は時期尚早=ロシア大統領

ビジネス

ドル建て業務展開のユーロ圏銀行、バッファー積み増し
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 5
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 6
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 7
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「世界の砂浜の半分」が今世紀末までに消える...ビー…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 6
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 7
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 8
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中