ニュース速報

ワールド

豪経済、当面はかなりの政策支援が必要に=デベル中銀副総裁

2020年06月30日(火)13時37分

 6月30日、オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)のデベル副総裁(写真)は講演で、豪経済は懸念されていたよりもうまく新型コロナウイルス危機を切り抜けているとしつつ、成長への打撃は「息の長い」ものとなるため、今後数年にわたって政策支援が必要になるとの見通しを示した。写真はシドニーで2017年9月撮影(2020年 ロイター/Jason Reed)

[シドニー 30日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)のデベル副総裁は30日の講演で、豪経済は懸念されていたよりもうまく新型コロナウイルス危機を切り抜けているとしつつ、成長への打撃は「息の長い」ものとなるため、今後数年にわたって政策支援が必要になるとの見通しを示した。

同副総裁は「先行きにかなりの不透明感がある」と指摘。「この不透明感には衛生を巡る制限が緩和される中での人々の行動対応が含まれる。将来に対するかなりの不透明感もあり、これは企業と家計の意思決定にも影響するだろう」と付け加えた。

その上で「豪中銀は低水準の借り入れコストと信用を獲得しやすい状況を維持するため現在の政策を据え置く。また、状況が正当化されれるなら追加措置を講じる用意がある」と述べた。

理事会は政策金利であるキャッシュレートの目標について、インフレ・雇用目標が達成されるまで引き上げないとのガイダンスを示している。

デベル副総裁は「インフレと労働市場の見通しを踏まえると、(利上げは)数年先となる公算が大きい」とした。

また、豪経済の4─6月期について、懸念されていたよりも幾分良好なパフォーマンスだったとしつつ、国内総生産(GDP)も労働時間も減少幅が歴史的な大きさになっていると指摘した。

さらに、景気支援に向けた財政刺激策の重要性に言及。国際通貨基金(IMF)でチーフエコノミストを務めていたオリビエ・ブランシャール氏に触れ、「債券発行拡大に伴う財政の持続可能性に関する懸念は全くない」とし、「これは経済成長が対名目GDPの政府債務比率を押し下げる作用をもたらすためだ」と説明した。

<現時点でマイナス金利は必要なし>

デベル副総裁は講演後の質疑応答の中で、マイナス金利はどの程度有効か不透明だとして、国内で必要はないと述べた。

また、新型コロナに伴う政府による財政刺激措置について、当初方針通り9月までに終了すれば「問題」になるだろうと指摘した。

*内容を追加しました。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中