ニュース速報

ワールド

世界のマスク市場が「無法化」、米の買い占めに各国が懸念も

2020年04月06日(月)09時19分

新型コロナウイルスに対応する医療従事者を守るためのマスクを確保する動きが世界中で加速しており、マスク市場は「ワイルド・ウエスト」(無法で粗野な米国開拓時代)と化している。リビアのマスク工場。3月撮影(2020年 ロイター/Ayman Al-Sahili )

[パリ/ベルリン 5日 ロイター] - 新型コロナウイルスに対応する医療従事者を守るためのマスクを確保する動きが世界中で加速しており、マスク市場は「ワイルド・ウエスト」(無法で粗野な米国開拓時代)と化している。米国が既に契約を結んだ他国よりも高い価格を払って買い占めるケースも見られている。

フランスとドイツの高官によると、米国はマスクの世界最大生産国である中国に市場価格を大幅に上回る値段を払っている。既に契約を結んだ欧州の国から契約を奪い取ることもあるという。

ドイツのメルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の幹部は、ロイターに対して「お金は問題でない。米国は必死だ。どんな値段でも払う」と話した。

新型ウイルスは昨年中国で初めて発生して以降、パンデミック(世界的大流行)と化した。欧州や南北アメリカ、その他の地域で各政府が必死に医療従事者や介護施設の従業員、国民の防護製品を確保しようとしている。

米国土安全保障省(DHS)の当局者は今週、米企業と米政府は国外から調達する防護具について、市場価格以上の値段を払っているとロイターに匿名で発言。米当局者は「あり余るまで買い続ける」とし、8月まで海外からの調達は続くかもしれないと述べた。

独政府のマスク調達を支援する企業の従業員は、3月の最終週から状況が一変し、市場で米国の存在が高まったと指摘。購入契約が成立していても必ず納品される保証はないと懸念を示し、「需要が供給をはるかに上回っている」と述べた。

フランスでも3つの地方政府のトップが同じような見解を示した。仏東部グランテスト地域圏の幹部は、マスク確保のために絶えず闘っていると指摘。直前で引き渡しの取り決めが変わると話し、「米国人は飛行場の滑走路で現金を出し、われわれの提示額の3倍、4倍を支払う」と懸念を示した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、0.25%の利下げ決定 昨年12月以来6会

ビジネス

FRB独立性侵害なら「深刻な影響」、独連銀総裁が警

ワールド

核問題巡り平行線、イランと欧州3カ国が外相協議

ビジネス

ユーチューブ、メディア収益でディズニー超えへ AI
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中