Joe Cash
[北京 7日 ロイター] - 中国の10月の輸出は約2年ぶりの大幅な伸びを記録した。中国製品への高関税賦課を公約に掲げるトランプ氏の米大統領選勝利に備えて駆け込み的に輸出が膨らんだ。一方、輸入は予想以上の落ち込みとなり内需の弱さを示した。
中国税関総署が7日発表した10月の貿易統計によると、輸出は前年比12.7%増加した。9月の2.4%増、エコノミスト予想の5.2%増を大きく上回った。
輸入は2.3%減少と、4カ月ぶりにマイナスに転じた。エコノミスト予想(1.5%減)以上の落ち込みとなった。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、Xu Tianchen氏は「2025年に圧力を受けるのを見越し、第4・四半期に向けて輸出の前倒しが加速すると予想される」と述べ、トランプ氏の当選で懸念が現実味を帯びたと指摘した。
貿易収支は952億7000万ドルの黒字で、黒字幅は9月の817億1000万ドルから拡大した。
対米貿易黒字は335億ドルで9月の333億ドルから拡大。1─10月は2913億8000万ドルだった。
<トランプ効果>
10月の対米輸出は前年比8.1%、欧州向けは12.7%それぞれ増加した。
キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、Zichun Huang氏はメモで、「輸出は今後数カ月、堅調に推移すると予想している。『トランプ関税』の影響は来年後半まで現れないかもしれない」との見方を示した。
「トランプ氏の返り咲きにより、中国の輸出が短期的に増加する可能性がある。米企業が関税が課される前に輸入を増やそうとするからだ」と分析した。
税関総署によると、昨年の対米輸出はスマートフォン、タブレット端末、ビデオゲーム機などが主要品目だったが、これらの製品に対する需要が弱まる兆候が見られる。
アナリストは、中国の製造業者が買い手を見つけるために価格を大幅に引き下げているか、在庫を中国から国外に移動させているだけだとみている。
10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、中国の製造業者が海外で買い手を見つけるのに苦労していることを浮き彫りにした。
上海を拠点とするエコノミスト、ダン・ワン氏は、輸出が増えてもPMIの新規輸出が振るわないなら、在庫の移動によるものと考えて間違いないと述べた。
アナリストによると、9月の悪天候による出荷の遅れが緩和されたことも10月の輸出増加につながった。また人民元安も寄与した。
<弱い内需で輸入減少>
10月は欧州連合(EU)からの輸入が前年比6.1%減、東南アジアからの輸入は7.3%減だった。日本からの輸入は小幅増加した。
原油輸入は9%減少し、6カ月連続のマイナスとなった。
中国光大銀行のマクロ経済研究員、Zhou Maohua氏は輸入減少の要因として、内需回復の弱さや輸入価格の低下、前年の水準が高かったことなどを挙げた。
ANZのアナリストは、次期トランプ政権下での関税引き上げに対処するために、中国当局は金融政策のほか、さまざまな支援措置を講じると予想している。
同行の中華圏担当チーフエコノミスト、レイモンド・ユン氏は「当局は補助金や資金調達支援など、関税の影響を相殺する政策措置を検討するだろう」と述べた。
また消費促進策や広域経済圏構想「一帯一路」向けの新たな輸出市場の開拓も含まれるだろうと語った。