ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏インフレ率、11月速報10%に減速 ECB利上げ縮小観測

2022年11月30日(水)21時59分

 11月30日、欧州連合(EU)統計局が発表したユーロ圏の11月の消費者物価指数(HICP)速報値は前年同月比10.0%上昇となり、伸び率は10月の10.6%から鈍化したほか、予想(10.4%)を大きく下回った。ドイツ・デュッセルドルフで2020年4月撮影(2022年 ロイター/Wolfgang Rattay)

[フランクフルト 30日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が30日発表したユーロ圏の11月の消費者物価指数(HICP)速報値は前年比上昇率が10.0%上昇となり、10月の10.6%から鈍化し市場予想(10.4%)を下回った。

ピークを過ぎたとの期待が強まり、欧州中央銀行(ECB)による利上げペース減速の可能性を高めそうだ。

INGのエコノミスト、バート・コリジン氏は「深刻な状態を脱したとはとても言えないものの、現在の経済情勢はECBに来月の利上げ幅を0.5%ポイントに縮めさせる可能性がある」と述べた。

市場では12月の利上げ幅が引き続き0.75%か、0.5%に縮小するかで見方が分かれていたが、HICPを受けて0.5%利上げとの見方に傾いた。

ただ内訳をみると、エネルギー価格が上昇鈍化に寄与する一方で、主要な懸念材料である食品価格のインフレは加速し続けている。

食品とエネルギー価格を除いた基調インフレ率は6.4%から6.6%に上昇。低下するとの予想に反した。アルコールとたばこも除いたインフレ率は5.0%で横ばいだった。

また、主要なカテゴリーである加工食品・アルコール・たばこのインフレ率は12.4%から13.6%に加速している。

コメルツ銀行のエコノミスト、クリストフ・ワイル氏は「インフレとの戦いに勝利したわけでない。基調的な物価押し上げ圧力は緩和しそうにない。コアインフレ率がピークを打つのは2023年半ば以降で、その後も低下ペースは緩やかだろう」と述べた。

当初はパンデミック後の経済再開に伴う供給のボトルネックによってインフレが促進されたが、現在は不作による食料価格上昇と、ロシアのウクライナ戦争の影響によるエネルギーコスト高騰が原因だ。

インフレ率は今後数カ月、特にエネルギー契約の価格が見直される年明けにはまだ上昇する可能性があるが、2023年を通じて低下し、24年末までには2%近辺に戻る可能性が高い。

このような急低下は歴史的に例がなく、今回の小幅な低下が金融引き締めサイクルの最終的な到達点を左右するようなことはないと示唆する政策立案者もいる。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中