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ユーロ圏インフレ率、11月速報10%に減速 ECB利上げ縮小観測
11月30日、欧州連合(EU)統計局が発表したユーロ圏の11月の消費者物価指数(HICP)速報値は前年同月比10.0%上昇となり、伸び率は10月の10.6%から鈍化したほか、予想(10.4%)を大きく下回った。ドイツ・デュッセルドルフで2020年4月撮影(2022年 ロイター/Wolfgang Rattay)
[フランクフルト 30日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が30日発表したユーロ圏の11月の消費者物価指数(HICP)速報値は前年比上昇率が10.0%上昇となり、10月の10.6%から鈍化し市場予想(10.4%)を下回った。
ピークを過ぎたとの期待が強まり、欧州中央銀行(ECB)による利上げペース減速の可能性を高めそうだ。
INGのエコノミスト、バート・コリジン氏は「深刻な状態を脱したとはとても言えないものの、現在の経済情勢はECBに来月の利上げ幅を0.5%ポイントに縮めさせる可能性がある」と述べた。
市場では12月の利上げ幅が引き続き0.75%か、0.5%に縮小するかで見方が分かれていたが、HICPを受けて0.5%利上げとの見方に傾いた。
ただ内訳をみると、エネルギー価格が上昇鈍化に寄与する一方で、主要な懸念材料である食品価格のインフレは加速し続けている。
食品とエネルギー価格を除いた基調インフレ率は6.4%から6.6%に上昇。低下するとの予想に反した。アルコールとたばこも除いたインフレ率は5.0%で横ばいだった。
また、主要なカテゴリーである加工食品・アルコール・たばこのインフレ率は12.4%から13.6%に加速している。
コメルツ銀行のエコノミスト、クリストフ・ワイル氏は「インフレとの戦いに勝利したわけでない。基調的な物価押し上げ圧力は緩和しそうにない。コアインフレ率がピークを打つのは2023年半ば以降で、その後も低下ペースは緩やかだろう」と述べた。
当初はパンデミック後の経済再開に伴う供給のボトルネックによってインフレが促進されたが、現在は不作による食料価格上昇と、ロシアのウクライナ戦争の影響によるエネルギーコスト高騰が原因だ。
インフレ率は今後数カ月、特にエネルギー契約の価格が見直される年明けにはまだ上昇する可能性があるが、2023年を通じて低下し、24年末までには2%近辺に戻る可能性が高い。
このような急低下は歴史的に例がなく、今回の小幅な低下が金融引き締めサイクルの最終的な到達点を左右するようなことはないと示唆する政策立案者もいる。