ニュース速報

ビジネス

アングル:中国短期金融市場に「国家隊」、デフォルト不安緩和が狙いか

2020年11月26日(木)19時25分

中国政府系機関は、有力企業の債券が相次いでデフォルト(債務不履行)に陥る中、投資家の不安を和らげようとしている可能性がある。上海市内で4日撮影。(2020年 ロイター/Aly Song)

[上海 26日 ロイター] - 中国政府系機関は、有力企業の債券が相次いでデフォルト(債務不履行)に陥る中、投資家の不安を和らげようとしている可能性がある。トレーダーらは、このために短期借り入れのコストが低下し、取引高が拡大していると指摘する。

上海証券取引所の7日物レポの取引高は25日に過去最高となった。大規模な低利資金が市場に流れ込んだため。銀行などの金融機関は債券を担保とするレポ契約を利用して資金を借り入れている。

トレーダーらによると、大量の流動性でノンバンク金融機関の資金調達難は緩和されたという。多くの機関は国有企業のデフォルトが相次いだことを受けて差し入れ担保の基準を引き上げていた。

複数のトレーダーによると、市場ではこうした資金は政府支援の一環だとの憶測が出ている。7日物の契約では大半が2.4%の金利でオファーされた。前日終了時点では3.34%だった。

一日の取引高は過去最高の6230億元(948億8000万ドル)に達した。前日は1240億元だった。

国内銀行のあるトレーダーは「巨額の資金供給により市場心理が落ち着いた」と述べた。

市場では政府の支援を受けた機関「国家隊」が債務リスクの拡大を防ぐため支援に乗り出しているとの憶測が広まっている。

中信証券の債券研究責任者、明明氏は、最近の信用リスクイベントは市場心理を悪化させ、一部の債券ファンドが償還圧力を受けたと指摘。「レポ市場の資金総量が拡大したことは、ノンバンク機関への的を絞った金融支援の強化に寄与した」ほか、流動性不足の解決にもつながったと述べた。

25日にオファーされた資金は、月末に高まるキャッシュ需要を金融機関が乗り切るのを支援する可能性もある。

別の国内銀行トレーダーは、波及効果で銀行間金利も低下したと指摘する。

公式データによると、25日終了時点の7日物レポ金利は前日比88ベーシスポイント低下の2.465%。同じ期間の銀行間金利は2.34%で終了したものの、9月末時点の2倍となっている。

トレーダーらによると、中国人民銀行(中央銀行)は今週、市場心理を安定させるため、短期金融市場にネットベースで小規模な資金を継続的に供給している。

(Winni Zhou記者、Andrew Galbraith記者)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ルビオ氏、米軍のカリブ海攻撃巡る欧州の批判に反論 

ワールド

南ア、25年ぶりインフレ目標調整 3%プラスマイナ

ビジネス

長期金利急騰、例外的なら「機動的に国債買い入れ増額

ワールド

米下院がつなぎ予算案可決、過去最長43日目の政府閉
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 4
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 7
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 10
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中