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米アマゾンの第4四半期、利益予想上回る 時価総額一時1兆ドルに

2020年01月31日(金)11時22分

 1月30日、米アマゾン・ドット・コムが発表した第4・四半期決算は、利益がアナリスト予想を大きく上回った。2018年8月撮影(2020年 ロイター/BRAZIL REUTERS/Pascal Rossignol)

[30日 ロイター] - 米アマゾン・ドット・コムが30日発表した第4・四半期決算は、配送時間の短縮やプライム会員の増加を背景に、年末商戦時期の売上高が大幅に増加し、利益がアナリスト予想を大きく上回った。

時間外取引で株価は一時13%超上昇し、時価総額は1兆ドルを超えた。31日もこの水準を維持すれば、1日の上げは2017年10月以来の大きさとなる。

第4・四半期の純売上高は21%増の874億4000万ドルで、アナリスト予想の860億2000万ドルを上回った。

純利益は8%増の33億ドルで、こちらもアナリスト予想を10億ドルあまり上回った。

調整後の1株当たり利益は6.47ドル。アナリスト46人の予想中央値は4.03ドルだった。

今四半期については、営業利益が最大42億ドルになるとの見通しを示した。前年同期は44億ドルだった。

<翌日配送巡る懸念は後退>

投資家の間では、アマゾンの配送時間短縮に向けた巨額の投資が不安材料となっていた。ただ、アトランティック・エクイティーズのアナリスト、ジェームス・コードウェル氏は「第4・四半期決算と第1・四半期の見通しは、翌日配送に注力することで利益率が圧迫されるという点で最悪の状態は脱したことを示唆している」との見方を示した。

また「AWSを巡る競争激化懸念はかなり誇張されており、株価を弱気とする主な2つの根拠は取り除かれた」と指摘した。

ブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)は、第4・四半期の翌日配送に関連した追加投資は自社予想の15億ドルを若干下回ったと説明した。また、今四半期の追加投資は約10億ドルを見込むと述べた。

ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は声明で、プライム会員が1億5000万人以上に達したとし、2018年の前回公表時から50%増えたと明らかにした。

同社はプライム会員向けに翌日配送サービスを提供することで一段の需要を見込み、2日以内の配送を無料で提供する競合ウォルマートに対抗しようとしている。アマゾンは、年末商戦時期の当日配送と翌日配送が前年比4倍に増えたと明らかにした。

第4・四半期はプライム会員が過去最大の増加数を記録し、会費収入は32%増えて52億ドルとなった。

<コスト拡大、コロナウイルスの状況を注視>

総営業経費は21.8%増の835億6000万ドルだった。

配送コストは43%増加し、129億ドルだった。クラウド事業「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」のインフラ関連やマーケティングのコストも拡大したほか、採用を増やしたことから、人件費も膨らんだ。

AWSの売上高は34%増の99億5000万ドルで、伸び率は前期からほぼ横ばいだった。

ループ・ベンチャーズのマネジングパートナー、ジーン・マンスター氏は調査リポートで「AWSの伸びは6四半期連続でかなり鈍化していたが、これが止まった意義は大きく、同部門に安定化の兆しがあるとの安心感を投資家に与えている」と分析した。

海外部門の損失は6億1700万ドルと、前年同期の6億4200万ドルから縮小した。

同社はアップルや他のハイテク企業ほどは新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けないとみられている。オルサブスキー氏は、状況を注視しており、中国出張を制限し始めていると説明した。

*内容を追加しました。

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