ニュース速報

ビジネス

スイス中銀が政策据え置き、マイナス金利は当面続く可能性

2019年12月12日(木)19時48分

 12月12日、スイス国立銀行(中銀)は政策金利を据え置いた。写真はスイス・ベルンのスイス中銀(2019年 ロイター/Denis Balibouse)

[ベルン 12日 ロイター] - スイス国立銀行(中銀)は12日、政策金利を据え置いた。リスクは下向きとの認識を示し、マイナス金利が当面続く可能性を示した。スイスフランについては、引き続き過大評価されているとし積極的に市場介入する方針を示した。

中銀は、政策金利を予想通りマイナス0.75%に据え置いた。中銀預金金利もマイナス0.75%に据え置いた。

中銀は声明で「世界経済のリスクは依然、下向きに傾いている」とし「貿易摩擦、および製造業の低迷が経済全体に波及する可能性」を主要リスクに挙げた。

今年、対ユーロで3%上昇しているフランを過大評価されているとし、フラン高抑制に向け積極的に介入する方針を示した。

ジョルダン総裁は会見で、5年近くに及ぶマイナス金利を、引き続き金融政策の柱と説明。

「それがなければ、フランはこの数年はるかに上昇し、スイス経済に打撃を与え、物価安定を脅かしていたはずだ」とし「明らかにコストより効果のほうが大きいという見解は変わらない」と述べた。

国内の銀行は、マイナス金利が業績を圧迫すると批判。UBSやクレディ・スイス、ジュリアス・ベアなど、一部の銀行は富裕層にマイナス金利の負担を転嫁している。

こうした状況もあり、中銀は今年、マイナス金利適用免除の範囲を拡大した。

ジョルダン総裁は、低金利環境が今年、さらに定着したとし、この状況を変えるのは一段と難しくなったと指摘した。

中銀は、2020年と21年のインフレ率予想を引き下げた。これを受け、アナリストは、利上げは予見可能な将来ないと予想した。

クレディ・スイスのエコノミストは、中銀のインフレ予想を踏まえ、政策金利は向こう2年間据え置きとみている。

スイス政府は12日発表した経済見通しで、来年の経済成長率を据え置いたが、通商摩擦や世界景気の減速が来年にかけて成長の重しになると指摘した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中