ニュース速報

ビジネス

米個人消費、9月は0.4%増で予想一致 所得は15カ月ぶり小幅増

2018年10月30日(火)02時51分

 10月29日、9月の米個人消費支出(季節調整済み)は前月比0.4%増と、7カ月連続で増加した。市場予想と一致した。ジョージア州ウッドストックで6月撮影(2018年 ロイター/NANDITA BOSE)

[ワシントン 29日 ロイター] - 米商務省が29日発表した9月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比0.4%増と、7カ月連続で増加した。市場予想と一致した。一方、賃金の伸びが緩慢な中、所得は15カ月ぶりの小幅な伸びにとどまった。現在の個人消費のペースが持続的ではない可能性を示している。

8月の個人消費支出は当初発表の0.3%増から0.5%増へ上方改定された。

個人消費は米経済の3分の2以上を占める。

トランプ政権の1兆5000億ドル規模の減税政策の効果がピークを迎えた兆しが見られる中で、9月は所得と賃金の伸びが鈍化した形だ。

SSエコノミクスの首席エコノミスト、スン・ワン・ソーン氏は「減税の刺激効果は頭打ちとなっている。金利上昇と振れの激しい株価動向によって心理的かつ実質的な影響が出ている」と述べた。

ベレンバーグ・キャピタル・マーケッツのエコノミスト、ロイアナ・レイド氏も、減税効果が薄れる中、「消費の伸びは2019年上期にかけて鈍化する」と予想。同時に「短期的には良好なファンダメンタルズが寄与し、今年の年末商戦も好調となる公算が大きい」との見通しを示した。

インフレ調整後の実質消費支出は9月に前月比0.3%増。8月は0.4%増加していた。

今回の統計は、26日に発表された第3・四半期国内総生産(GDP)に組み込まれた。GDP統計で個人消費は年率で4.0%増と、約4年ぶりの大幅な伸びだった。第3・四半期GDPは3.5%増と、第2・四半期の4.2%増から減速した。

9月に実質消費支出が伸びたことは、第4・四半期に向けて個人消費が底堅く伸びたことを示す。ただ勢いは弱まるだろう。9月の個人所得は0.2%増と、2017年6月以来の小幅な伸びにとどまった。8月は0.4%増加していた。賃金は9月に0.2%増と、8月の0.5%増から減速した。

失業率が49年ぶりの低水準の3.7%であるにもかかわらず、賃金の伸びは依然として緩やかだ。

9月の貯蓄は9757億ドルと、17年12月以来の低水準に落ち込んだ。8月は1兆ドルだった。

9月の個人消費支出の内訳は、モノの支出が0.6%増。スポーツ用品への支出が増えた。サービスは0.3%増。ヘルスケアが増加する一方、外食や宿泊は減少した。

物価は引き続き、安定的に伸びた。個人消費支出(PCE)価格指数は変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比0.2%上昇。8月は横ばいだった。9月の前年同月比は5カ月連続で2.0%上昇した。コアPCEの前年同月比は米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安としている。コアPCEの前年同月比は3月に、2012年4月以来初めてFRBが目標とする2%に達した。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「コアインフレの最近の落ち着きを踏まえ、FRBは来週、追加利上げを見送るだろう」と述べた。同時に「引き続き潜在率を上回って推移する経済成長は12月利上げの根拠となるだろう」との見通しを示した。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米8月小売売上高0.6%増、3カ月連続増で予想上回

ビジネス

米8月製造業生産0.2%上昇、予想上回る 自動車・

ワールド

EU、新たな対ロ制裁提示延期へ トランプ政権要求に

ワールド

トランプ氏、「TikTok米事業に大型買い手」 詳
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがまさかの「お仕置き」!
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 8
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 9
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中