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ECB、量的緩和終了の軌道外れず 10月から買い入れ半減

2018年09月14日(金)03時39分

9月13日、ECBは理事会で、主要政策金利を予想通り据え置いた。写真は2017年12月、フランクフルトのECB(2018年 ロイター/Ralph Orlowski)

[フランクフルト 13日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は13日の理事会で主要政策金利を予想通りに据え置いた。保護主義を巡るリスクの存在感は増していると警戒を示しながらも、年内に債券買い入れを終了させ、来秋には利上げに着手するとの軌道は堅持した。

ユーロ圏で物価が上向き、成長が比較的健全な水準で推移する中、ECBは、通商問題のほか新興国情勢や英国の欧州連合(EU)離脱などの多岐にわたるリスクが存在するもののユーロ圏の景気拡大は頓挫しないとの確信に基づき、景気刺激策を段階的に引き揚げている。

ECBはこの日の理事会で、毎月の債券買い入れ額を10月から150億ユーロに半減させることを決定。同時に、債券買い入れ策を年末までに終了させ、少なくとも来年夏までは金利を過去最低水準にとどめるとのスタンスを維持した。

こうしたガイダンスの期間は中銀としては通常見られないほど長いが、議論が起きることはなく、金融市場では完全に織り込まれている。INGのエコノミスト、カーステン・ブレゼスキ氏は「ECBは現在の自動操縦モードを継続するとみられる。あとは実行に移すのみで、ECBは何か新たなことを示唆したり、時期尚早な発表を行ったりする必要はない」と述べた。

ただドラギ総裁は理事会後の記者会見で、中国、トルコ、アルゼンチンなどの新興国に起因するリスクが増大しているとの認識を示すと同時に、通商を巡る緊張の高まりも懸念要因となっていると指摘。「保護主義の台頭、新興国市場の脆弱性、金融市場のボラティリティーを巡る不確実性はこのところ存在感を増している」と述べた。

こうしたリスクを一部反映し、ECBはこの日に発表した最新のスタッフ予想で、ユーロ圏経済の成長率予想を2018年は2.0%、19年は1.8%とし、前回予想からともに0.1%ポイント下方修正した。

ドラギ総裁は、刺激策の引き揚げに伴い成長は緩やかに減速し、自然な水準に戻っていくと指摘。同時に、政策の正常化は市場のボラティリティーの高まりにつながる可能性があるため、他の主要中銀の景気支援策の引き揚げもリスクの源となるとの見解も表明。「世界的な生産に対する主要な不確実性の源は保護主義の台頭に起因している」とも述べた。ただ現在のマクロ経済見通しにはすでに発動された措置のみが反映されており、発表済みだが未発動の措置は反映されていないと述べた。

ECBは19年と20年の基調的インフレ見通しを下方修正した。ただ全般的なインフレ率は20年まで1.7%で推移するとの予想は維持。ドラギ総裁はこうした水準はECBが2%近辺としているインフレ目標と一致するとしている。

ECBは今回の理事会でリファイナンス金利を0.00%、限界貸出金利を0.25%、中銀預金金利をマイナス0.40%にそれぞれ据え置くことを決定。

市場ではおおむね織り込み済みだったため大きな動きは見られなかった。ユーロは対ドルで約0.5%上昇したが、主に8月の米消費者物価指数(CPI)統計が予想より軟調だったことを受けたものだった。

*情報を追加しました。

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