ニュース速報

ビジネス

金融庁、地銀に有価証券運用の含み損の適切な処理を要請=関係筋

2018年05月18日(金)16時45分

 5月18日、金融庁が、全ての地方銀行に対し、外債などの有価証券の運用で抱えた含み損を放置せず、適切に処理するよう求めたことがわかった。複数の関係者が明らかにした。写真は都内で昨年6月撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)

[東京 18日 ロイター] - 金融庁が、全ての地方銀行に対し、外債などの有価証券の運用で抱えた含み損を放置せず、適切に処理するよう求めたことがわかった。複数の関係者が18日、明らかにした。同庁は、有価証券運用の含み損を自己資本や年間コア業務純益などの期間収益の範囲内にとどめることが望ましいとの見解を伝えている。

有価証券運用で発生した含み損をどの時点で処理するかは、銀行の経営判断。金融庁が健全性や収益維持の観点から、許容される含み損の規模に踏み込むのは異例だ。

金融庁は地銀に対し、有価証券の評価替えを行ったり、売却することで損失を確定させるように求めている。

米債利回りの上昇を受けて、金融庁は今年に入って20行程度の地銀を対象に外債の運用状況を調査した。

その結果、調査した全ての銀行が含み損を抱えていた。同庁は問題のあった地銀を対象に順次立ち入り検査を実施している。その中で、一時的な収益の落ち込みを恐れ、目先の利益確保のために含み損の処理を遅らせている銀行が、多数確認された。

金融庁は、含み損を抱えたままの状況が続いた場合、相場の展開によってはさらに含み損が膨らみ、現実に損失を確定させる際に利益や自己資本が予想以上に減少する事態を警戒している。

同庁は、取締役会が有価証券の運用状況を定期的に把握し、社外取締役も交えて議論しながら適切に管理するよう求めている。

地銀は、マイナス金利政策による貸出収益の縮小に加え、市場部門では日本国債での運用も厳しくなり、米国債を中心とした外債運用に乗り出してきた。

金融庁は今回の要請に対し「コメントを控える」(広報担当者)とした。地銀協は「有価証券運用は、会員各行が持続可能なビジネスモデルを追求していくうえでの経営戦略の1つであり、協会としてこの点について申しあげることはできない。金融庁から問題提起された点については、適宜、会員銀行に対し周知している」としている。

(布施太郎、和田崇彦 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テマセク、運用資産が過去最高 米国リスクは峠越えた

ワールド

マレーシア、対米関税交渉で「レッドライン」は越えず

ビジネス

工作機械受注、6月は0.5%減、9カ月ぶりマイナス

ビジネス

米製薬メルク、英ベローナ買収で合意間近 100億ド
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワ…
  • 5
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 6
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    自由都市・香港から抗議の声が消えた...入港した中国…
  • 9
    人種から体型、言語まで...実は『ハリー・ポッター』…
  • 10
    「けしからん」の応酬が参政党躍進の主因に? 既成…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中