ナチスと旧東ドイツの時代にゲシュタポとシュタージという2つの秘密警察による恐怖を経験したドイツや旧共産圏のEU加盟国はプライバシーに敏感です。

私たちの前には2つの道があります。

ドイツのようにプライバシー保護を徹底するか、英米のようなオープン・ジャーナリズムを基盤として報道機関がプライバシー保護を監視する独立機関を自主的に設立するかです。

筆者は、権力の意思に左右されず速やかに亡くなられた犠牲者を公表することが最大の人権保障だと信じています。

遺体や臓器に含まれる水分と脂肪分を合成樹脂に置き換え、保存する「プラスティネーション」をご存知でしょうか。一昔前、日本でも話題になった「人体の不思議展」を覚えておられる方も多いでしょう。

米国での「プラスティネーション」展を手掛けたイベント会社は「人体標本はもともと中国公安当局が引き受けた中国人や国内居住者です。中国公安当局は刑務所から遺体を受け取ったのかもしれません」と説明しています。

リアルを通り越した「人体標本」は一体どこの誰なのか、なぜ、どのように死んだのか全く分かっていません。プライバシー保護のためでしょうか。このリアルさが権力によって匿名で死なされるということがどういうことなのかをリアルに物語っていると思います。

皆さんはどう思われますか。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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※9月24日号(9月18日発売)は、「日本と韓国:悪いのはどちらか」特集。終わりなき争いを続ける日本と韓国――。コロンビア大学のキャロル・グラック教授(歴史学)が過去を政治の道具にする「記憶の政治」の愚を論じ、日本で生まれ育った元「朝鮮」籍の映画監督、ヤン ヨンヒは「私にとって韓国は長年『最も遠い国』だった」と題するルポを寄稿。泥沼の関係に陥った本当の原因とその「出口」を考える特集です。

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