ただ、問題はやはり今後のアンドロイドのバージョンアップにどう対応していくかである。アンドロイドに対応して多数のアプリケーションが作られているが、今後アンドロイドがバージョンアップし、アプリもそれに合わせてバージョンアップしたとき、それらが「鴻蒙」の上でも動作するように互換性を保っていくのは難しくなる(『21世紀経済報道』2019年5月27日)。かといって、「鴻蒙」上で動作するアプリをこれから揃えていくのも大変である。

以上のように、クアルコムのIC、グーグルのアンドロイド、アームのCPUコアが断たれても、ファーウェイにはそれらを代替する手段がすでに準備されているので、スマホの生産を停止するような事態には陥らないだろう。ただ、ファーウェイがこうした代替手段のことを「Bプラン」と呼んでいることから伺えるように、それはやはり不本意な代替であって、ファーウェイ製品の競争力をある程度削ぐ可能性が高い。

6月17日にファーウェイの任正非CEOはアメリカのMITメディア・ラボの創設者ニコラス・ネグロポンテ氏と投資家・作家のジョージ・ギルダー氏との座談会で、2019年は1300億ドルと見込んでいた売上が昨年並みの1000億ドルにとどまり、来年もそれぐらいだろうとの見通しを示した。

ジレンマに悩む日本企業

トランプのファーウェイ「村八分」指令は日本企業など第三国の企業にもとばっちりが及びかねない。ファーウェイは2018年に日本から7000億円の部品を調達しており、ソニー、東芝メモリ、村田製作所などもファーウェイにスマホ部品を売っているといわれる。その部品のなかにアメリカ企業から購入した材料などが使われている場合に、今後はアメリカによる制裁におびえなければならなくなる。

そうした日本企業のジレンマを象徴するような出来事が5月23日にあった。その日の『日本経済新聞』朝刊などで、パナソニックがアメリカ産の材料等を使った製品をファーウェイに輸出するのを停止した、と報じられた。すると同日の午後にパナソニック中国のホームページにこの報道を否定する声明が掲載された。その声明によれば「パナソニック・グループのファーウェイに対する製品供給は正常に続いており、メディアで流れている『供給停止』というのは事実ではない。ファーウェイはずっとパナソニックにとって重要な協力パートナーである」とのことである。パナソニックがアメリカの制裁の影とファーウェイとの取引維持との間で股裂き状態になっていることをうかがわせる。

大統領選に向けてますます強気