例えば、スマホ用ICの大手メーカー、米クアルコム社の場合、2018年の会社の売上の67%がファーウェイ、ZTEをはじめとする中国(香港含む)向けの出荷によるものであった。クアルコムは特許の国際申請数で常にアメリカ企業のトップを走るアメリカを代表するハイテク企業である。今回の措置によってファーウェイへの販売ができなくなればクアルコムにとってかなりの打撃であるに違いない。実際、同社の株価はこの発表があってから86ドルから66ドルに急落した。つまり、トランプ政権がファーウェイに向けて撃った砲弾の破片が、アメリカの宝とでもいうべき企業にまでケガを負わせたのである。

もちろんファーウェイ自身にとっても困ったことであるのは言うまでもない。スマホ用ICについていえば、子会社の海思(ハイシリコン)で4G用のKirinシリーズや5G用のBalongシリーズなどを生産しているので、クアルコムからのIC供給が止まってもただちにスマホの生産が止まるようなことはないだろう。

半導体もOSも代替進む?

厄介なのはそのスマホ用ICの中に入っている英アーム社のCPUコアをどうするかである。BBCや日本経済新聞の報道によれば、アームのCPUコアはもともとアメリカ企業を買収して得た知的財産が含まれているため、今回のアメリカ政府の措置を受けてアームはファーウェイとの取引を暫時停止しているようである。中国での報道(『新京報』2019年5月24日)によれば、ファーウェイはアームの現行バージョンのCPUコアについてはすでに永久ライセンスを獲得しているので、それを組み込んだICの生産をやめる必要はないだろうが、将来アームがバージョンアップしたときに、まだファーウェイが禁輸の対象であるとすれば、アームの最新のCPUコアを使うことができなくなる。

もっとも、これまでクアルコムやサムスンなどがCPUコアをアームに依存する状況を打破するために自らCPUコアを開発したこともあるので、今後アームとの取引ができなくなればファーウェイが自分で開発していく可能性はある。

同様の問題がスマホのOSについてもある。これまでファーウェイなど中国の主要なスマホメーカーはグーグルのアンドロイドをOSに使ってきた。ファーウェイに対する禁輸措置により、グーグルとの関係も断たれる可能性がある。アンドロイドはもともとオープンなOSなので、それで直ちにスマホの生産をやめなければならないということにはならない。加えて、ファーウェイはすでにこのような状態を見通して「鴻蒙」というアンドロイドと互換性のある独自のOSを開発し、2019年秋にも完成する見通しだという。

任正非CEOが語った見通し