公式統計によると大連市経済は1992年から2012年まで実に21年連続で二桁成長を記録するなど猛然と成長してきたが、2014年から急減速している。2014年のGDP成長率は5.8%、2015年は4.2%と、全国平均をだいぶ下回っている。2015年は鉱工業がマイナス成長になってしまった。
最も気になるのは、現時点に至るまで2016年のGDP成長率が大連市政府・市統計局のウェブサイトで公表されていないことである。毎年2月末から3月初めにかけて、全国および各地方で前年の経済実績を「統計公報」として公表する、というのは中国の中央および地方の政府がずっと守ってきたルールである。大連市もずっとそのようにやってきた。
ところが、このルールで行くと2017年3月には2016年の経済実績に関する統計公報が出るべきなのに、現時点(2017年6月12日)でも公表されていないのである。いったい何が起きているのだろうか。
ネット上でのさまざまな情報を総合した結果、私は次のようなことだと推測している。
まず、2017年2月に全国や地方で昨年の成長率の速報値が出た。その時に大連市も、2016年のGDPは8150億元で、前年に比べて実質6.5%の成長だったと速報したようだ。2015年のGDPは7732億元だったので、前年の数字とも辻褄が合っている。
速報値は省の数字と矛盾
ところが、同じ頃、遼寧省政府が2016年はGDP成長率が実質ではマイナス2.5%、名目ではマイナス23%と発表したことで、大連市当局は面目を失ってしまうことになった。以前に本欄で論じたように、遼寧省の統計局は今年になってこれまでのGDPの水増しを解消し、より真実に近い数字を発表する決意をしたようである。だが、遼寧省全体はマイナス2.5%なのに、遼寧省経済の3割を占める大連市がプラス6.5%では、大連市の数字が嘘臭く見えてしまう(もちろん、大連市以外の遼寧省が大幅なマイナス成長であればこの二つの数字が両立することはありうるのだが。)
【参考記事】遼寧省(の統計)に何が起きているのか?
そこで大連市は速報値を慌てて撤回し、水増し分を抜いた2016年のGDPを計算し直したが、他の数字との矛盾を直すのに手間取って公表できなくなってしまったのではないか。ネットで漏れ伝わってくる再計算後の2016年のGDPは5924億元だという。つまり速報値ではGDPが4割近くも水増しされていたのである。もっとも、GDPの実額が水増しされていようがいまいが、景気がよいのか悪いのか判断する上で大事なのは実質成長率だから、それさえきちんと計算して発表してくれればいいのだが、統計公報はいろいろな数字をいっぺんに発表するために、相互に矛盾のないように数字を調整するのに時間がかかっているのではないか。